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王妃さまに仕える女性の中でも若輩のわたしたち四人は、しょっちゅうひとまとまりにされてしまう。
爵位を持つ伯父さまの伝手で側仕えになることが決まったときは、飛び上がるほど嬉しかった。
教養を身につけた淑女たちと芸術や音楽について優雅に語らったりすることになるだろうと、事前にみっちり予習もしてきた。
でも蓋を開けてみたら、この三人は暇さえあれば「結婚前の娘がする話なの!?」みたいなことばかり喋っている。
そういうことに関心を持つのも分からなくはないけど、程度ってものがあると思う。九割以上シモがかった話題になってしまうのは、さすがにきつい。
リズたちがキャアキャアと盛り上がる中、わたしは自分だけでも刺繍に集中しようと心に決めた。
王妃さまが戻られたとき、「まあセシリー、こんなに進んだのね」って驚いていただけるくらいがんばろう。
「それにしても、エドワード・ホワイトフォートさまよ」
決心したばかりなのに、リズが口にした名前のせいで刺繍針が滑った。
「先週の催し以来、すっかり注目のまとよね~」
「主にご婦人たちから」
三人は視線を合わせてニヤリとする。
「とーっても逞しかったものねえ!」
けたたましい笑い声が上がり、わたしの胸の中には苦々しさが広がった。
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