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「この前、渡り廊下のところで立ち話をしてなかった? いつにも増してエドワードさまがにこやかだったような」
見られていたなんて。
油断して歩いてたら話し掛けられてしまったけど、早々に切り上げたつもりだったのに。
「あ……兄と友人なので、面識くらいならあるわ」
嘘だ。がっつり幼なじみだ。
別荘地ではお隣さんみたいなものだったし、同い年ということもあって小さいころはめちゃくちゃ一緒に遊んだ。
「そうなのね、いいなあ」
「私なんて挨拶しかしたことないわよ」
「性格はどんな感じなの? 見た目どおり爽やか?」
わたしが可愛がっていた小鳥がいなくなったときには何日も一緒に捜してくれたくらい優しくて、足下の氷が割れてわたしが池に落ちたときには、真っ先に冷たい水の中に入って助けてくれたくらい勇敢で――なんて、なんとなく言いたくなかった。
「せ、性格まではよく知らないわ」
全然そういう仲なんかじゃないけど……実は、コッドピースに隠された部分のことも知っている。
冬の池に落ちたのは八歳か九歳のころで、大人からすればたいしたことのない深さだったけど、わたしたちはすっかりびしょ濡れになってしまった。
水から上がって、従者がおこしてくれた火にあたりながら着替えることになったとき、彼が下着を脱いだところを見てしまったのだ。
エドワードのそれは……その、とてもとてもかわいらしかった。
「エドワード・ホワイトフォートのそこは大きいらしい」と、まるで美点のように語られているとき、真実を知るわたしの胸はきゅっと痛む。
小さくたっていいじゃない。
大きくても小さくても、エディは素敵な人だ。
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