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甘ったるいリズの声が響いてくる。
「まあぁ、遠乗りがお好きですの? 素敵だわあ」
「ええ。子供のころから楽しみのひとつでした」
そっと覗いてみると、二人は笑顔で言葉を交わしていた。
胡桃色の髪に深緑色の瞳の端正な容姿の貴公子と、透けるように輝く金の髪に青い瞳の美しい令嬢……。なるほど、キャシーたちの言葉どおり二人は「美男美女でお似合い」に見える。
わたしと同じ焦げ茶色の髪のリックは、よく「金髪の女の子っていいよね~」なんて言ってるけど、やっぱりエドワードもそうなのかなとか考えたら、変なふうに胸の奥が疼いた。
「ん……?」
わたしはリズの仕草の不自然さに気づく。
何かを訊ねるとき。
答えを聞いて笑うとき。
感心したように頷くとき。
彼女はそのたびに体を少し前に傾け、両腕で左右から豊かな胸を挟み込むような体勢になった。
そうすると、大きく開いた襟ぐりからはみ出しているふたつの膨らみの谷間がさらに深くなり……。
喉が勝手にごくりと鳴った。
リズは本当にエドワードを落としにかかっている。
男女の駆け引きにやたら詳しそうな彼女が全力を出したら、わたしなんて到底太刀打ちできな……あれ、なんでわたしがリズに太刀打ちしなきゃならないの?
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