16人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
愛しさが溢れて、涙が次々に流れ落ちていった。温かく、心が満たされていた。
あー…私、結構ダメージ大きかったんだなぁ。
頬を両手で包まれて、私はそっと顔を上げた。裕貴が笑って、私も笑った。
俯くひまわりたちに囲まれて、私と裕貴はキスをした。
「誕生日おめでとう」
「うん」
手を繋いでひまわり畑から出た。八月最終週、快晴。これからまだまだ気温は上がる。5つ年下の裕貴とまたバイクに乗って、出会う前の二日間の思い出を上書きして行った。たくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん笑って…人生で一番幸せな日を過ごした。
二日後、私は旅行を終えて日常に戻る。裕貴とは、中距離恋愛に…なるのかな?
「ごめん、バイトもう休めなくてさ」
「いいよ。大丈夫」
「連絡、するから‼︎明日も明後日もその先もずっと…」
「うん」
ホテルに送って貰ってから三十分後に裕貴から『帰ったよ』とLINEがきて、私はそれに『今日はありがとう』と返した。
翌日も朝から数回のやり取りをした。夕方の『これからバイト』に『頑張って』と送って…
それきり連絡はこなかった。
最初のコメントを投稿しよう!