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突然光が遮られ唇に何かが触れた。
懐かしくて愛しいにおい。
抱きしめられた身体が震え、溢れ出した涙がとめどなく流れ落ちる。
「見つけた」
「…ゆぅ…き?」
「夏子」
涙の向こうに裕貴の笑顔があった。
「裕貴…」
「ごめんな。あの日携帯失くしてさ…」
「…」
「バイト友達が夏子の連絡先削除しちゃったって…」
「…彼女じゃなかったんだ」
「そんな訳ないじゃん…」
「ただの友達が画面ロック解除なんてできるもんなの?」
「パスコード…」
「え?」
「ヒコロヒーの誕生日だから。俺のパスコード…バイト仲間みんな知ってる」
「……」
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