最悪な出会い

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「そ、そうです。社員寮希望です」 今のところは、こいつに逆らわない方が良さそう。 「今日は此処に泊まって」 此処に泊まるのか。 「え、え、此処って何処ですか?」 「此処は此処」 なんだか会話が空回り? 「此処?」 私は琴宮さんの言っている意味が分からず、戸惑う。 だって此処スイートですよ。 「その代わり、今からレセプションに出て」 また訳のわからない提案がされた。 「レセプション?」 「そう、歓迎会みたいなもの」 「は、はぁ」 誰の歓迎会?起きたばっかりの所為もあって、思考能力が追い付かない。 「決まりね」 この人と会ってから、私の都合は悉く却下されている気がする。 「でも・・」 無理ですと言おうとしていたら、部屋のチャイムが鳴った。 中川さんがドアを開けに行く。 「失礼します」 数人の女性が洋服が何着もかかった、ハンガーラックを持って入って来た。 「じゃあ、後は任せたから」 そう言って、琴宮さんと中川さんが部屋を出て行く。 代わりに飯田さんが顔を出した。 「川島様、レセプションの準備をしますので、お願いします」 お願いしますって何をお願いされているの。 呆気に取られている私の傍へ、2人の女性が寄って来て、 両腕を掴まれた。そのままテーブルの前に座らされた。 「失礼します」 目の前にはメイク道具やら、ドライヤーが並べられた。 もう抵抗する気力もなくされるがままになっていた。
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