最悪な出会い

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「あ、俺だ。今日面接の約束があるのか?そうか。 その面接、無しにしてくれ。俺が雇うから。そう、いいだろ。 今本人がいるから、その旨を伝えて。急いでるんだ」 そう言うと、彼が私にスマホを手渡した。 「え、何、何」 渡されたスマホを耳に充てる。 「川島さんですか?西島です」 電話の向こうに面接の約束をした時の人の声が聞こえた。 「あ、はい、川島です。お世話になっております。今ロビーにいるんですが・・」 私は紅茶色に染まったブラウスを眺めながら、言葉に詰まった。 「あの、今日の面接は無しにします。それで後はこのスマホの持ち主の指示に従って貰えますか?」 「え、どういう事ですか」 私は訳が分からず、どうしていいかわからない。 「後は俺が説明する」 彼が私からスマホを取り上げた。 「じゃあ、後はこっちに任せてくれ」 そう言うとあっさりと電話を切った。面接は無しとか、後はこっちに任せてとか、何がなんだか。 「中川、時間が無い。行くぞ」 彼が中川さんに声を掛ける。 「はい、わかりました。」 中川さんが彼の指示で私に問いかける。 「川島様とお呼びして宜しいですか? 西島様に許可を頂きましたので、一緒に来て頂けますか」 「あ、はい。川島で。でも、え、え、」 彼に促されて歩き出したけれど、西島さんだって今日初めて会う筈だった人だ。 それなのに、この訳の分からない人に従えなんて言われても。
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