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「ルームサービスはお好きな物をお召し上がりください。
では、こちらでしばらくお待ちください。」
そう言って、飯田さんが部屋を出て行こうとした。
「あ、すみません。私、シャワーを浴びて着替えたら帰りますので」
「いえ、お待ちください。後で琴宮が参りますので、それまでお待ち頂く様に言われております。どうか帰らずにお願いします。私どもが怒られてしまいますので」
「え、でも」
怒られると言われて、さっきの彼の横柄な態度を思い出して、この人達がどんな怒りをぶつけられるのかと想像したら、帰れなくなってしまうではないか。
「わかりました。お待ちします」
渋々、そう答えた。
「ありがとうございます」
深々と頭を下げて、飯田さんが出て行った。
仕方ないシャワーを浴びよう。私はバスルームへ向かった。
ドアを開けて、目を見張った。これってバスルームなのか。
全てが豪華で、ここで生活出来るんじゃないかと思わせる広さだ。
こんな凄いバスルームなら、ゆっくりシャワーを浴びていたかったけれど、
超特急でシャワーを浴びて、バスルームから出た。急いで髪を乾かす。
彼が来たら、直ぐに帰れるようにと、私は急いでブラウスを見に行く。
ブラウスはサイズ別に3種類用意されていて、どれも私が買う様な物ではなく、高級品だった。もっと違う所にお金を使ったらいいのに。
余計な考えが頭に浮かぶ。一番普通のブラウスに袖を通す。
やっぱりお高い物は肌触りが違うかも。
ルームサービスの中にダージリンのティーパックを見つけた。
あ、これは彼自慢の自家製茶葉だ。
さっきペットボトルの紅茶を飲み損ねていたので、これは飲んでみたいと思った。
お湯を沸かす。
私はスイートルームがどうなっているのか知りたくて、部屋の中を歩き出した。あんまりジロジロ見るのは良くないかなと思いつつ、スイートルームの設備に驚きながら、全部屋を見てしまった。防犯カメラでもあったら、もう変な人だ。なんて思いつつ、リビングのソファに腰掛けようとした時、
電話が鳴った。
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