最悪な出会い

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(わっ・)慌てて電話にでる。 まさか何処かで今のを見られていて注意されるんじゃなんてドキドキする。 「もしもし」 「フロントですが、クリーニングのブラウスを取りに伺いたいのですが、宜しいでしょうか?」 「クリーニングですか。えっと、自分で洗濯しますので大丈夫です」 ブラウスはもう畳んで、バッグに入っていた。 「取りに伺いますので、よろしくお願いします」 電話は勝手に切れた。 程なくチャイムが鳴ってクリーニングの回収の人が現れた。 「よろしくお願いします」 仕方なく紅茶色のブラウスを差し出した。 「お預かりします」 深々と頭を下げて、クリーニングの人が帰って行く。なんだか此処にいると色々勘違いしそう。早く帰りたいな。 ちょうどお湯が沸いたので、紅茶を淹れる。 お湯を注いだ瞬間にいい香りが立ち上って来た。あー、なんか幸せだ。 私はティーカップを手にソファの一番端っこに座った。 ゆっくり、紅茶を味わう。ほんとに美味しかった。あまりに美味しくて、 何故か悔しくなって来た。 ほんの少しさっきまでの出来事がこの香で薄れたけれど、 もう、ブラウス1枚ごときでなんでこんな大事になってるんだろう。 今日仕事が決まらないと、困るんだけどな。 さっきの面接で採用されれば、当日から社員寮に入れるという条件が付いていたから、即応募した。今日はゆっくり眠れそうだなと思っていたけど、それは諦めた方がいいのかも。仕事の内容も今までの経験を活かせるから好条件だったのに。 でも琴宮さんはCEOだから、頼めばまた西島さんに連絡して面接して貰えるかもしれない。ちょっとムカつく奴だけど、少しだけ我慢してお願いしてみようかな。 もう1時間近く待っているけど、誰も来ない。あんなに急いでシャワーを 浴びたのに。ちょっと残念な気持ちになる。 このまま待っていていいんだろうか。もうブラウスも着替えたし、シャワーも浴びた。帰ってしまおうか。 そんな事を考えている内にあまりに暇過ぎて、また睡魔が私を襲う。
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