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一緒に暮らすようになって、俺がSubだと知っている校長先生を始めとする上の先生方にも報告すると、すんなり……いや、むしろ安心された。
「周防先生の辛そうな姿を見ることもあって心配だったんですよ」
そうやって笑って受け入れてもらえたのは大きい。
基本、夫婦になると職場はどちらかが離れることになるのだが、ダイナミクスは特例で同じ職場のままでもいいらしい。
まぁ、さすがに恋人でもあるとは言ってはいないのだが。
「僕はノーマルだからダイナミクスのことは何もできないけどね。パートナーを作るようにって推奨されてもそればかりは僕たちがどうこうできなかったから」
校長は微笑むと俺と先生をそれぞれゆっくり見た。
「困ったことがあったらそれはちゃんと言って下さいね?できる限り何とかしますから」
本当に恵まれた環境だと思う。
ダイナミクスについて知られるようにはなったが、やはり偏見の目で見られることはゼロじゃないから。
話を終えて校長室を出て、自然と先生と目が合った。
「よかったですね」
「ホッとし過ぎて力うまく入んないです」
窓に近づいて息を吐き出すと、先生は俺の腰を支えて微笑む。
「何があってもちゃんと守りますよ?」
いつも真っ直ぐ伝えてくれる先生。
そんなの嫌だったはずなのに、先生には守られることも嬉しい。
手を伸ばしかけてパッと窓枠を掴んで耐える。
「ふふ、今日は早く帰りましょうか?」
相変わらず素早く察知してくれる先生に微笑まれて俺はただ頷いた。
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