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先生を見ると先生は微笑んでメガネに触れる。
「……取ってもいいですか?」
グレアを抑えてくれているらしいそのメガネ。
外されたら……すぐに不安より期待の方が上回ってトロンと表情を崩してしまった。
安堵したように笑った先生は俺の頬に手を添えて軽くキスをしてくれる。そして、
「外してくれますか?」
顔を近づけてきた。
手を伸ばしてそのメガネに触れる。
スッと目を閉じた先生のメガネを外すと、先生はゆっくりと目を開けて俺の手からメガネを取ってサイドテーブルに置いた。
こっちを見てくるその茶色の瞳。
あのレンズがないだけで雰囲気も違って見えてドキッとする。
「航生、“Kiss”」
言いながら顔を少し上げて俺が動かないと届かないようにするなんてちょっと意地悪だ。
それでもその首の後ろに腕を回して頭を持ち上げる。
触れて、離れようとすると今度は角度を変えた唇に塞がれた。
グッとしっかり塞がれて息苦しさから酸素を求めると、その隙をついたようにヌルりと舌が入り込んでくる。
「んっ……ん"ーーーっ」
初めてのこんなキスにどうしたらいいのかわからない。
されるがままに舌を絡められて、送られる唾液で溺れそうになる。
「航生、息」
「ふ、ぇ?」
「鼻で息して」
ドキドキするのはこんなキスをされたからか、敬語が一切なくなったからか、見つめられたその視線のせいか……。
息を乱しながら何とか見つめ返すと、先生はフッと笑ってもう一度俺の口を割り開いた。
戸惑っているとトンと指で鼻を突付かれる。
「は……あ……」
チュ、クチュと鳴る水音に恥ずかしくなりながら何とか息をしていると、先生は目元を緩ませた。
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