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「僕のだって……痕ついちゃいましたね?」
つけていいか聞いてきたのは先生なのに?
先生がにこにこといつまでも触っているせいで、どうしたってそこを意識してしまう。
胸の上部、その中央は俺でも何とか見える位置だった。
赤く鬱血しているその痕は先生からの所有の印をつけられたようでそこだけやたら熱く感じる。
「……黙っちゃいました?」
顔を近づけてきて額を付けられたまま話されてそんなの余計に心臓が大きく音を立てた。
「だ、だっ!!ってぇ……」
クルッと向きを変えて手繰り寄せた布団に顔を埋めると、笑い声と共に後ろから抱き締められる。
「そんなかわいいことして」
「かわいくないです!」
「恥ずかしがるそれがもう……」
言いながらチュッと項にキスをされてピクッと跳ねてしまった。
「そろそろ寝ますか?」
「あ、そう……ですね。でも……」
まだパンツだし、そのまま抱き締められて眠るのは恥ずかしかったのに……
「じゃあ、“Sleep”」
コマンドなんて使われたら俺だけパンツのみの気恥ずかしさも、抱き締められて距離の近い緊張もどうでもよくなってしまう。
蕩けるような心地よいその声を聞いただけで、トロトロと眠気がやってくる不思議。
もうこのコマンドで眠ることに慣れた身体は抗うこともせずすんなりと眠りに導かれていく。
頭を撫でられているだけで瞼は開かなくなって、背中に先生の体温を感じながら安堵しきった俺はすぐに眠りに落ちた。
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