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風呂に入って並んでご飯を食べて……
「どうしました?」
先生に顔を覗き込まれてビクッと肩を揺らす。
箸を口に入れたままぼーっと先生を眺めていたんだからそう聞かれるのはおかしくないのに。
先生の食べ方があまりにも綺麗で見惚れていた。
帰ってくるといつものキチッとしたシャツとネクタイからニットなどのユルッとした服装になって腕捲くりされているのもどうしても少しドキッとしてしまう。
しかも最近、やたら先生に触れたくて、そして、触れて欲しくて仕方ない。
やたらムラッというか……ちょっとしたことでその欲を先生に感じて戸惑ってはいる。
俺は今まで人との関わりはできる限り避けてきたが、そういう性欲がないわけではない。
人並みにその欲は一人で処理してきたから。
何となく先生を穢したような気がして罪悪感さえ覚えるのに……たまにプレイの最中に感じる雄々しさにはかなりクるものがあるのは確かだ。
「航生さん?」
急に指で顎を持ち上げられて思わず持っていた箸を落としてしまう。
それでも先生は拾うことも俺の顎を離すこともしないでじっとこっちを見つめてきた。
「今日はかなりぼんやりしてますね?」
原因を探るようなその目の前では簡単に暴かれる気がする。
「あ……」
「何ですか?」
「何でも……」
「航生?」
少し声が低くなって逃れられない。
「最近……何か……おかしく、て……」
「物欲しそうな顔してますよ?」
その色気が滲んだ微笑みにドクンと心臓は大きく音を立てた。
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