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「本当に好きなんだね」
「え?」
テーブルに肘をついてふわっと笑われて首を傾げる。
「そのパートナーのこと」
「は?」
「めちゃくちゃいい顔してるよ?」
微笑んで「羨ましー!」と笑われて両頬を押さえた。
そんな何か顔に出ていただろうか?
「ま、エッチはまだでもそんなに悩むのは多少関係が進んだってことだろ?」
グッと伸びをした佐藤くんがまた徳利を手にする。
注がれる日本酒を見ながら顔を上げられずにいると、佐藤くんはくすくすと笑った。
「そっか!必要なのはそういう恥じらいかぁ……」
「へ?」
思わず顔を上げると、笑う佐藤くんが近づいて来ていて更に跳ね上がる。
「お礼にイイこと教えてあげるっ!」
笑いながら耳に口を寄せられて意味もわからないし焦るのに、俺の肩に手を置いた佐藤くんは構わずコショコショと話し出した。
「なっ……」
その衝撃的な内容に言葉を失う。でも、
「やってみなよ?エッチどころか後ろ触ってもらうなら必要な準備だよ?」
佐藤くんはまた席に戻って残っていたつまみに手を伸ばしていた。
知らずに関係を進めていなくてよかった、とも思う。
だが、準備……その衝撃がデカ過ぎて俺にできる気もしない。
だってそんなこと……できるか?
「ま、リラックス〜!」
そう言われたってできるはずがなくて、俺は店員を呼ぶとワインと焼酎を注文した。
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