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お仕置き……先生の口から聞いたこともない言葉に少しドキッとする。
だが、先生は「冗談ですよ」と笑ってゆっくり俺の体を起こしてくれた。
そうやっていつも通りにされたことで、安心するよりももどかしさを感じてしまうのは……やはり俺がその先を求めているからだろうか?
水をもらって、先生が作ってくれたしじみのお吸い物を飲む。
「あんな風になるなら外で飲まないようにってした方がいいですか?」
笑って軽くキスはしてくれるけど、甘く大人な雰囲気にはしてくれない。
しかも、「飲むな!」と命令されてみたいなんて……俺はどうしたのだろう。
「航生さん?」
不思議そうな顔の先生に覗き込まれてハッとした。
「辛いでしょうから、もう少しここで休んでいて下さいね」
優しくよりたまには少し強引に暴いて欲しい気もするのに。
額にキスをして穏やかな笑みを向けられると、ただ頷いてしまう。
「僕は少し洗濯物を干して掃除してくるので……ゆっくりしていて下さい」
こんな優しい先生にもっと恋人っぽく……エッチだってしてみたいなんてどう言えと?
先生は前の恋人とも性的な関係はなしだったのだろうか?
佐藤くんが教えてくれた準備もだけど、言うのだってかなりハードルが高そうだ。
パタンとドアが閉まって立てた膝に顔を埋める。
膝にある布団から先生の匂いがした気がしてキュンとしつつ、落ち着かない疼きを感じてしまった。
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