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赤い絵本 2
純和風な古くて大きな家には立派な和室、日本間か?があり、軍服姿の誰だかわからないおじさんたちが薄っぺらい窓ガラスの内側から、厳めしい顔をして真っ直ぐに欄間の向こうのどっかを見つめていた。
だけど、曾祖父ちゃんはいつもニコニコ微笑んでいるだけで、こちらの質問なんかまるで無視だ。
耳が遠かったのかもしれない。
でも、イヤな曾孫だよな、と思う。
戦争でどんな光景を見たか、どんな経験をしたか、興味津々で身を乗り出して、時には膝に座って耳に口をくっつけてまで聞いてくるのだ。
答えないのだから、答えたくないと言うことではないか、と今ならわかるのに。
そんな曾祖父ちゃんの口癖は「おまえたちが嫁に行くまで生きてみせるからな」だった。
なのに死んだ。
セーラー服の丈がちょうど良くなって、「おまえたち」の8人の曾孫のうちの一番上のお姉ちゃんが大学に入った年だった。
私は、白いワンピースを着て葬式に参列すると泣きわめき、大人たちからフルボッコ、ヒソヒソされた。
単細胞なので、花嫁姿で見送りたいとでも考えていたのだろうか。
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