39.

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39. 剛の恋人、黄泉の国にいる「のん」はロイの変化を少しずつ理解していた。 ロイは、僅か0.3%の良心が「この世界」に来てキョウコに出会い変わったのだ… 「のん」はキョウコの心の中を聴く試みをした。 「キョウコさん…」 「わたしは黄泉の国の「のん」と言って…涼チームの剛の恋人なの…」 「キョウコさんのお陰で、ロイさん、穏やかな心になって…」 「良心が分かるようになり…心が変化しているの…」 「それは、キョウコさん…貴方がロイさんを愛したからなの…」 「…「のん」はロイさんに、語りかける事は出来るけど…」 「心の中で、会話は出来ないの?」 「それは、ロイさんは、「ちがう世界」の方と…ロイさんの防衛本能からなの…」 「それで、キョウコさんと会話をしたくて交信したの…届いた?」 キョウコは「のん」への返信を直ぐにしないでいた。 それはキョウコがどうしたいのか理解出来ないでいたからだ? ロイが、今迄行って来た犯罪は許さない事…それを考えただけで… キョウコは、自分の事よりロイの事を考え…「のん」との交信を躊躇していた。 「キョウコさん実はわたしは、無用な闘いはしたくないの…」 「それで、今、インターコンチネンタルホテルに居る人質の方を解放したいの…」 「でも、あまりにも悲惨な状況をロイさんに魅せつけられた、人質の方は…」 「ロイさんにマインドコントロールされていて…」 「自ら、ホテルを出ることが、出来ないの…?」 「完全にロイさんに、恐怖を植え付けられたの…」 キョウコは、「のん」からこの話を聞き益々…わからなくなってしまい… 「私がロイに、なにをすればいいの?」 「この闘いを…放棄して欲しいの?」 「ロイさん…」 「穏やかになり、人質の方の、マインドコントロールを解除して欲しいの…」 「闘いを放棄して、人質のマインドコントロールを解除したら私達、どうなるの?」 「私は、ともかく、ロイとヨウは…」 この事をキョウコに聞かされて…「のん」は即答出来なかった。 あまりにも、ロイ達の行為が惨忍であったからである。 俺は、今後の事を考えていた! ロイ達との闘いで…自分が犠牲になった時… 俺には、子どもがいない…かみさんとかみさんの父親…で 俺は漫画、サザエさんと同じマスオさんである…子どもがいないせいか? 特に、この様な事があっても危機迫る事はなかったのだ? 俺が、「ちがう世界」に入り込み 今迄とは違う世界の話しをしたが… かみさんは、ただ頷き…レオの事を理解してくれた! ここまで…殺人鬼である… ロイは、絶対やってはいけない事をしてしまったが…罪を裁くのは俺では無く…法である… 俺には、覚悟が出来ていた! この闘いで死んでも… 俺は、レオ、剛と一緒にかかわった事が一番の幸せだったことを…感じていたから… 「涼!ありがとう…」 「テリパシーで、涼の思いが読み取れたよ…」 「涼は、こんなに思い込み…」 「レオの事、考えていてくれてたんだね」 「でもね…」 「これは、「この世界」に「ちがう世界」のロイがやって来て…」 「悪鬼を「この世界」にもたらし…」 「自分の欲望のために、人を殺め…」 「挙げ句の果てには…」 「組織を作り「この世界」を制圧しょうとし、人質と殺人犯をホテルに監禁して…」 「…「この世界」を「ちがう世界」と同じ様に…」 「歪んだ世界に…ロイは目論んでいた…」 「レオ!もう沢山なんだ…父さんを奪われ…リクおじさんは殺され…」 「そして…」 「涼!までも…」 「レオを悲しませないでよ…涼!お願いだから…」 「死ぬ覚悟なんてしないで…!」 レオは、俺にかなり大きな声で語った! 「レオ!わかった…!」 「絶対死なないから…」 俺は、号泣しながらレオに言葉を返した! 俺は、この闘いに勝ってレオを「ちがう世界」に帰す役目があるからだ… 「剛!ここまで、本当世話になったな…」 「剛がいなかったら、レオと2人ではゲームを上手く進められなかったぜ!」 「あと、「のん」のおかげで、ロイをゲームに参加させられたこと…」 「インターコンチネンタルホテルに監禁された…」 「殺人犯を説得して、人質をロイの魔の手から救い出した…」 「俺達は、黄泉のパワー「のん」が居なければ…」 「ここまで上手く進める事が出来なかったよ!」 「これも、剛が居なかったら…」 「でも…」 「闘いは、剛に頼る訳にいかないぜ!」 俺は、レオが嬉しい事を言ってくれたが、闘っての死を覚悟していた… 「涼!まだ、終わっていませんよ!」 「そうだね!剛!」 レオが相づちを打った。 「今、「のん」がロイ達…に」 「特にキョウコさんに…問いかけています…」 「出来れば、闘わずに…と」 「…「のん」が交渉していまが…」 「ロイ…どうする?」 キョウコは、ロイにさりげなく 、今後の事を聞いていた? 「ロイ!ヨウは、しっかり闘う、意志を伝えてくれたわ!」 ロイ!今迄の事を考える様になり、闘いに対して、特別な思いがあるのでは無いか? 闘って、勝った場合… 俺達が…なんのメリットが? 負けた場合は…公開処刑? キョウコは、ロイに訪ねながら、不安である事… 伝わる様に…回答を模索していた。 「キョウコ…」 「闘おう!」 「始めの条件は、勝てば俺達が「この世界」を支配する」 「しかし、いつの間にか…」 「俺が絶対勝つ方法として…」 「隠し玉で「この世界」の総理、警視総監、涼達などに、揺さぶりをかけたが…」 「俺の中に残った、僅かな良心が、仇となり…」 「涼達の剛!いや黄泉からの「のん」に裏をかかれて…」 「インターコンチネンタルホテルに監禁されていた殺人犯を改心させ…」 「俺のマインドコントロールから、殺人犯は解放され…」 「そして、人質をホテルから、解放出来れば…」 「俺達は…用済みだ!」 「しかし…」 「人質は、俺のマインドコントロールがまだ生きていて…」 「俺の中の、僅かな良心のおかげで、人質に悪逆をさせる事が出来無いが…」 「人質は、心の病を持ったまま、今後…」 「暮らさなければ…ならない…」 「解除するには、俺が人質に仕込んだキーワードを…」 「キョウコ…このキーワードを…」 「キョウコ!俺の良心は、お前を愛した事と、「この世界」が「ちがう世界」より…」 「時間の進みが遅いこと…」 「だけ…だったのか?」 「闘いに俺達が勝ったら…マインドコントロールのキーワードを条件に…」 「俺とヨウは、なんとか「ちがう世界」に帰って…」 「もし…負けたら、俺は死んでいるから…」 「キーワードを…」 「これからキョウコに教えるよ…」 「俺が人質に伝えなくても、大丈夫な様に、今、サイコキネシスで キョウコの頭に念じたよ!」 「ロイ!今、話してくれた事が、私達が闘う条件になるのね!」 「そうだよ!」 「ヨウ!これでいいかな?」 「俺は、ロイとキョウコが納得してたら…したがうちゃうよ」 相変わらず、ヨウの言葉には、違和感があった! 「覚悟は…決まったわね!」 「私も逃げないで…」 「闘うわ!」 キョウコの決意は、硬かったのだが… このゲームにおいて、「この世界」は、涼チームに託され…役割として、インターコンチネンタルホテルの人質の解放… 人質の管理をしている、殺人犯を刑務所に送り返す…事が、目的だった! 一方、「ちがう世界」からやって来た、ロイは、このゲームにあたって、勝った場合は… 「この世界」を制圧し支配する事に… しかし、ロイの目論見は、上手くいかなかった! それは、人質を管理する、殺人犯をロイは… 恐怖を植えつき過ぎ、殺人犯自体をコントロール出来なくなった! 恐怖のあまり、殺人犯は、自ら刑務所に戻るようになっていた! そして、人質は解放されたが…ホテルから、出る気配が全くないのであった? それは、ロイからのマインドコントロールが解けていないからであった。 「剛!なんだか凄い事になったな?」 「ロイは、最終的にどんな条件を出してくるのだろうか?」 「なあ、剛もう切り札はないだろよ?」 「多分、人質がマインドコントロールされている、ことから…」 「マインドコントロールを解く、キーワードを切り札に、する事になりますね?」 「ロイのマインドコントロールを、解除するには、ロイからのキーワードが必要となり…」 「涼!「のん」から情報が入りました…」 「え?キョウコさん?」 剛は、突拍子のない声を上げていた… 「剛、元気だった?」 「…「のん」どうしたの…?」 「前に話した様に、この闘いはしたくないの…」 「でも…」 「人質のマインドコントロールを解除する為に…」 「ロイさんのキーワードが必要なの…」 「ロイさんに語りかける事は出来ても、お互いの交信は出来ないの…」 「ロイさんは、「ちがう世界」の方と悪義が過ぎたからなの…」 「そこで…」 「キョウコさんと交信を取ったの…」 「でも、闘いをしないで上手く解決する方法が見つからなかったの」 「それが…」 「キョウコさんから連絡が入り、取引きしたいて…」 「剛!わかった…」 「しかしもう…闘いが始まる」 武器の説明が終わり、再度ルール説明が行われていた。 ゲーム開始前に説明したルールと大きな変更はなく… どちらかが死ぬまで又はギブアップするまで… ロイチームは、ロイとヨウ 涼チームは、涼とレオで闘い、オブザーバーの参加が認められる。 但し、闘いは二人までとし、交代は、自由である! 時間は、0時45分を過ぎようとしていた… その時、剛が… 「涼!ロイのマインドコントロールのキーワード…」 「キョウコさんが…知っていて…」 「それを…取引きしたいと?」 「剛、ありがとう…少し…遅かったかな?」 闘い開始の「ドラ」が鳴り響いた!
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