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40.
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闘いがドラの音と、共に開始された!
俺の武器は釘バット…防具はカブトとした。
しかし、釘バットにカブト姿は、マッド・マックスのやられキャラが頭をよぎり…かなり滑稽に映る!
滑稽なのは、釘バットもさる事ながら…カブトがなんとも言えず、釘バットとの調和が取れず、変な空間がそこにあった?
ロイとヨウは、「ちがう世界」の人間なのに…俺を見て腹を抱えて笑いこけていた。
「ヨウ!見たか?」
「おかし過ぎて…闘う気が起きないぜ…!」
「ロイ!まったくですね!」
平安時代使用していたカブトで、打撃・斬撃や飛来・落下物などから頭部を守るための防具である。
防具としては、武将が合戦に備え付けていた物で、「立物」が長く、角の様に上にあがり「カブト鉢」は、5月子どもの節句と同じで…小さなヘルメットの様に…
そして、「吹返」は、象の様な大きな耳で、刀が当たらないように工夫されていた。
だが、この「吹返」がどうも、ファッション的に、不具合を生じていて、釘バットを持っことから…滑稽さを増すのであった!
レオは…ひとまず武器として、日本刀と盾を持ち身構えていたが…日本刀の鞘を付けたままだった!
そんな事を考えていた時、剛の怒号が耳に飛んで来た!
「涼!……危ない!」
俺は、間一髪、レオの盾に守らせれた!
それは、突然だった…
攻撃は、ヨウのダガーナイフによる腹部への抉るような「ツキ」であった!
俺は、ロイ達を疑心の目で観ていたのだが…
俺の頭の中には、俺の格好を観て笑いこけているヨウの残像が消えないまま…その攻撃があり…
ヘラヘラしながら、近寄って来たヨウに…気が付かなかったのであった!
剛の怒号は、まだ続いていた!
「涼!気をぬくな!」
「レオ!良くロイ達を観ろ!」
「レオ!さっさと鞘をぬけ!」
今迄の剛の優しい口調から、一変した事から、俺は身が引き締まった!
すると、今度はロイが青龍刀で、レオに襲いかかってきた…
レオの右腕数センチ離れたところをかすめ…
青龍刀が空を切り地面を叩き…
「カッキ~ン」と甲高い音を立て、弾き返された!
ロイは振り向き、再度レオに青龍刀を振り下ろす!
今度は、盾で防いだが、青龍刀を打ち下ろした盾から、微かに火花が散った!
俺は、ヨウとの闘いとなっていた!
ヨウは、ダガーナイフを背中に回しては、左手、右手と交互に回し俺を翻弄させる、おかしな動きを繰り返していた!
俺は、感じ取れた…釘バットの遠心力を利用して…攻撃する事が出来ないか?
ヨウのダガーナイフは、全長がない事から…この様なおかしな動きをして…
俺を翻弄?威嚇?しているのだろうと?
レオも俺も今は攻められっぱなしになっていた。
すると、そこで…
剛が…
「ロイ達は上にしか観ていない、俺達は下だ…!」
「え、何?剛?どう言う事?」
レオは良く理解出来ていなかった!
すると剛が…
「だから、脚を狙うんだ!」
「特に、ふくらはぎから下だ!」
俺は、剛の指示に従うように…釘バットをスナップを利かせ…振り回した!
俺は、おかしな動きをする、ヨウの脚元をチラ見した…脚元を疑似すればそこに、注意が向けられる。
俺は、剛の言う通り、脚を攻撃する事に決めた!
どうして、剛が脚の攻撃を指示したのか?
それは、釘バットの長所とパワーを最小限に抑える事を、剛は考えて、教えてくれたのだ!
長所として、釘バットは、玉を打つように…片手であっても両手であっても…
左右に振る事が肝心で…パワーを最小限に抑える為…
頭部を狙った攻撃は、腕を持ち上げている事から…パワーを使う…
そのため…剛は…脚元の攻撃を俺達に指示したのであった!
おかしな動きで威嚇する…ヨウに、頭部の攻撃と見せかけ…ふくらはぎを狙って、右手片手で素早く右側からスイングした!
すると、向かって右脚のふくらはぎ下、アキレス腱あたりに釘バットがヒットした!
俺は、右手の感覚が一瞬なにかが引っかかった気がした…
それは、河口湖でブラックバスを釣り上げる感覚に似ていた?
ルアーをバスに合わせるたとき、右腕にかかる負荷と同じだった。
たぶん、ヨウの脚に、釘バットの釘が肉にめり込だ時…右腕にかかる負荷と同じだったのだ。
しかし、ブラックバス釣りと違っていたのは…釣りは、バスを引っ掛けるため、送り込んで、右側に引き寄せる…ヨウとの闘いは、打撃である!
ヨウの肉にめり込んだ一瞬…バス釣りの手感覚が蘇ったのだ!
釘バットは、ヨウの脚、アキレス腱あたりにを通り過ぎた時…
ヨウの呻き声が聞こえた!
「ウッグ…グッ…」
俺は、かなりの衝撃と思ったのだが…
「痛いんだなぁ~」
「参ったちゃんだなぁ~」
また、あのヨウの違和感がある口調の言葉が返って来た。
「なんなんだよ!」
「子ども騙しの釘バットの攻撃は…」
今迄にないヨウの怒りを感じた!
そういえば…
ヨウは、「ちがう世界」でストリートファイターとして負けたが事が無かった…
それを…
ロイから知らされていたことを
俺は、すっかり忘れていて…この後になって思い出し…俺に恐れが生まれ出されていた。
レオは、ロイと闘っていた!
ロイは、防具として鎧を付けてきた。
しかし、ロイは全身を鎧で覆わず、胴体部分だけ着けていた。
あと、ロイは左手に盾を持ち、防具は、完璧だった。
ヨウは、ダガーナイフのみで防具を持っていない事になる!
レオは、剛の指示でやっと日本刀の鞘を抜いた…
レオは、左手に盾を右手日本刀を持ち、ロイの攻撃に耐えていた!
ロイも、重い鎧を胴体につけ尚且つ…
左手には、機動隊が使用するジュラルミン製の盾を…右手は、青龍刀を持っていた!
ロイは、はじめ、かなりの勢いで攻めていたが、重量がある、武器、防具を使っているので…肩で息をしていた。
「どうして、ロイはあんなに重量がある重い物を付けたのかなぁ?」
レオは、独り言をつぶやいた。
そうか、ロイはレオの武器を警戒しているんだな?
それは…
ヨウの脚から、鮮血が流れていた。
「お前…」
「ただでは済まさせんぞ…!」
ヨウは、いつもの様な、違和感がある喋りではあったが…
俺には、いつもの様に聞く事が出来ずに恐れから、つばを飲んでだ!
ヨウの次の行動を考えていたのだが…
俺の釘バットは、一本の釘がヨウの肉を削ぎ、ヨウの体内か?
それとも、闘い場の、地面の上なのか?
大量では無いが、ヨウの脚から鮮血が出て…靴下らしきものが赤く染まっていた!
ヨウは、脚の負傷など全くどうじづに…
逞しい身体を見せ付ける様に、ダガーナイフを交互に右手、左手と渡し、おかしな動きであったが…
「さあ!ウォーミングアップは、ここまで…」
「…でしょうかね?」
「お前!涼!斬りきざんでやるわよ!」
俺は、少し怖気づき何も言葉を返せなかった。
そんな時…
「問題ない!有利なのは、涼だ!怖気づくな!」
「ヨウが、どちらの手にナイフを持っているか!」
「しっかり把握するんだ!」
またしても、剛からの怒号が聞こえて来た!
ロイは、やはり以前とは違っていた、自分の心に0.3%良心がある事を知ってから…
今迄の非情な、惨虐心が薄れていた、これも「この世界」のキョウコを愛した事からだろうか?
ロイは、日本刀いや斬鉄剣を恐れ警戒しているのであった…
そんな事から、ロイは防具を盾、鎧と強化したのだ!
あとは、生きることの執着だろうか?
しかし、レオには父親を植物人間にされた怨みがあり…
心の中、負のエネルギーを増大させて、ロイと闘っていた!
いったんは、「ちがう世界」での父親とのテレパシー交信で、怨みはいけないと…忠告を受けていたが…
ロイの無様な姿、防具を鎧、盾を二つ装備していることから…レオは、ロイの醜い心を知り…
僅かに残っていた怨みが増加したのであった!
「ロイは、レオの斬鉄剣を恐れている…」
「散散国民をそして…」
「父さんを…」
「自分勝手に支配して来て…」
「しっかりけりをつけるよ!」
レオは、今迄の幼さが、いつのまにか消え、大人として大きくなったと、俺は感じ取れた!
俺は、ヨウの威圧に屈指そうになったが…剛のアドバイスから、なんとか、気持ちを切り替える事が出来た!
「涼!1番注意が必要なのは、ヨウが飛び込んで来る攻撃だ!」
「ダガーナイフは、殺傷能力が高いから、当たれば致命傷になるぞ!」
「細心の注意が必要になる!」
「ヨウの動きをよく見るんだ!」
「手の動きは、カモフラージュだ!」
「脚と頭の動きを良く観察するんだ!」
「わかったよ!」
「剛!」
俺は、独り言をつぶやいた。
しかし、剛は、警察官である事から、流石この手の修羅場を経験してるせいか…的確なアドバイスが頼もしい!
心の奥底から、闘う気力が湧き出て来るのがわかった。
剛は、若いが武道の腕は確かだった。
剣道は、三段で警察の全国大会で何度か優勝をしていた。
剣道もさる事ながら、柔道も二段で関節技を得意とし、学生時代は、オリンピックの強化選手に選ばれるほどの逸材だった!
そして、剛は父親と同じ職業を選んだのは…
殉職した父親が、剛に日頃から伝えていた事は…
見えないチカラ…
スピリチュアルの存在を剛に伝え…剛も理解していたからである!
剛は、心も強かった…
それは、最愛の恋人「のん」をこの世から失い、どん底から自分を信じて…生きて来た強さが…揺るがない精神を、作り出したのでは、ないだろうか?
スピリチュアルを信じ、この世から「のん」を失っても彼女の事を思い…真っ直ぐ生きて来た、剛に奇跡が起きた…
それは、この世から黄泉の国へ旅立った…「のん」とのテレパシーによる交信だった!
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