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41. キョウコは「のん」と取引を続けていた。 ロイが人質にかけた、マインドコントロールを解除するキーワードをキョウコに教えていた。 キョウコは、このキーワードの情報を元に闘いの勝敗に関わらず… ロイとヨウを「ちがう世界」へ帰してあげるようと考えていた… しかし、何故?キーワードをロイは、キョウコに教えていたのか? ロイは、人質をマインドコントロールするため人質の潜在意識から変えようとしていたからだ… しかし、このように人質の潜在意識をロイは変えようとした事が大きな間違いだった。 人質の潜在意識を変えるようとした事で…今迄、ロイが行っていた、恐怖、悲しみ、無力感などを目覚めさせ… 負のエネルギーが人質の潜在意識に染み付いていったのだった! この反動は、ロイ自身にもあり 今迄に無い幻覚や、怖れに繋がっていた事をロイは、自覚し始めた。 マインドコントロール解除のキーワードは、ロイが人質に掛けた言葉ではあるが… そのキーワードから、人質は潜在意識にある負のエネルギーが蘇りホテルから出る事… 即ち解放されても人質の心に恐怖が住みついていた。 そして、今迄のロイの行為から、ロイ自身もおかしくなる事は確かだったからだ! このゲームを始めた頃から、ロイは僅かな良心が芽生え…完全なサイコパスでは、無くなった。 それは、キョウコを愛したからであった…「この世界」の女を愛した事で… 今迄、行って来た惨虐がロイ自身に降りかかるのである事を…キョウコは「のん」を通じて知ったからであった。 そして、キョウコを愛したロイは… 迷いながら… キョウコにも… 無意識のうちに、キーワードを共有化していたのであった… ロイは、レオと闘いながら、別の事を考えていた。 それは、今迄に無かった、幻覚、怖れによる嫌悪感が周期的に襲ってくる事を… この思いを断ち切るためには、インターコンチネンタルホテルに監禁されている人質にかけた… マインドコントロールを解除することが必要だったが… ロイは、最後の切り札としている、マインドコントロールを解除するキーワードが…自分を嫌悪感から救う… キーワードであると夢にも思っていなかったからだ… この事を「のん」は黄泉の国から観ていてキョウコに問いただしてみたのだ! 「…「のん」…私は、ともかくロイの最善の選択は…」 「キョウコさん、やっとわかったてくれましたね!」 「はじめは「のん」を敵としてこの闘いの取引として、聴いくれてて…」 「でも、キョウコさん、「のん」は剛の恋人であるから、涼チームを勝たせたい…でもね…」 「こんな闘いは全く意味が無いと「のん」は、はじめからわかっていたの…」 「でも、地上に降りていった人達は、無意味な刺激を求めて…」 「人をキズ付けたり、殺めたりするの…」 「でも、良心がある人は、死んでから、全てが平等な黄泉の国に舞い上がるの…」 「ロイがもし、死んでから…黄泉の国へは…?」 「キョウコさん、それは、難しいようなの?」 「…「ちがう世界」からの人である事と…」 「ロイさんは…良心は目覚めましたが…」 「今迄の不条理な殺人を繰り返し過ぎたの!」 「キョウコさん、だからひとまず、ロイさんを死なさないで…」 「ロイさんの嫌悪感を取り除くのは…」 「何度でも言うは!」 「ロイさんが人質の方にかけた…」 「マインドコントロールのキーワードを「のん」に教えて欲しいの…」 「そして、キョウコさん!手伝ってもらいたいの」 キョウコは、ロイの為… 「のん」は「この世界」の為に… 俺は、今迄に味わった事がない緊張感が押し寄せてくる… 「この世界」にいて、死がとなり合わせの極限に居る… 切迫感が妙に心地よくなっている? 俺の左腕から、鮮血がしたたっていた… 致命的な怪我では無い… 俺にしては、考えられない「この世界」の光景…殺し合いを大会の様に実施して… この俺が「この世界」をなんとかしようと思っているのだから… ヨウも、防具がない事から、おれの釘バットの攻撃をかわしてはいるが… 着ている服の右袖が無くなり…穴の様な、ほころびの様なものが…ところどこのに見えていた。 お互い、疲れがピークを迎えたか肩で息をしながら身構えていた。 「おい!涼ちゃんどうだ…」 「なかなか、頑張るじゃあないか?」 「ヨウこそ!やるなかぁ?」 「涼!気を抜くな!」 「ヨウはしたたかだぞ!」 剛から、怒号が飛ぶ俺は、ハッとしたが、ヨウと闘ってよくわからない感情が湧き上がっていることに気がついてた… レオは、ロイの攻撃をかわしながら、反撃を待っていた。 ロイは、重い、鎧と盾そして青龍刀が身体の動きを鈍らせている。 レオは、ロイの青龍刀の攻撃を盾でかわしていたが… しかし… 日本刀、斬鉄剣を鞘から抜いたが、どうも手に上手く馴染まない… なんせ、レオは日本刀はおろか、刃物類を今、初めて手にするのだからだ… すると…剛がそれを察知し… 怒号が飛んだ! 「レオ!」 「よく聴け!」 「日本刀そう!斬鉄剣の刃わかるか!」 「それで…切り落とすんだ…」 「刃はどっちかわかるか?」 「うん、何となく?」 「今なら、ロイは攻めて来ない」 「構えて、私の方を向いて見てくれ!」 レオは、日本刀の柄を握り返し、剛に確認を求めた! 「レオ!大丈夫だ!」 「その形で、ロイがレオを攻撃したように、日本刀いや斬鉄剣を振り下ろせ!」 「うん!わかった!」 「ありがとう!剛!」 レオは柄を握り返した事で、違和感なく、ロイに攻撃を仕掛けていった… ロイは、見るからに疲れている事がわかる… それは、ジュラルミンの盾と青龍刀を構える事が出来ず…盾は地面に置いて動かす気配がない。 そこで、キョウコが悲鳴に近い声を上げた! 「ロイ!危な~~い!」 「横………よ!」 ロイは、辛うじてジュラルミンの盾を、顔の前に構える事が出来た! レオの反撃が開始された! レオは、無言のままロイの頭部へ斬鉄剣を振り下ろした! 斬鉄剣がジュラルミンの盾に当たり、鈍い音を立てた! 「ズバッド…ドドド…ドド」 レオは、斬鉄剣の柄にかなりの衝撃を受けていた! 流石、斬鉄剣! 漫画の様に、真っ二つにはならなかったが…ジュラルミンの盾、半分ぐらいは、切れたであろう…か? ロイは、唖然としていた! レオは、ロイの頭を狙った攻撃だった事で…ジュラルミンの盾は、斬鉄剣により…上から四十センチぐらいのところまで切れていた… 切れているというか、もう、ジュラルミンの盾とは呼べず… 斬鉄剣により、切断されなかったが、上部がブラブラな状態になっていた! ロイは、その上部が邪魔だとばかり折り曲げたのであった。 ジュラルミンの盾はもう、ロイの頭を守るれず…鎧の面だけとなったのだ。 俺はヨウと、どのくらい闘っているのだろうか? ヨウも、ロイ同様「この世界」に来て、良心…が? ヨウは、ロイと違い肉親を殺していない… 「ちがう世界」では、金の為、ストーリーファイターとして、恐喝、窃盗などして生計を立てていた。 そんな事から、ヨウはサイコパスではあったが… 快楽のため自ら人を殺める事はしなかった…のだ ロイと出会い、ロイの生き方に感銘し、ダークな世界に身を投じ 「ちがう世界」をロイの相棒としてついて来た… そして、「ちがう世界」をロイと共に築きロイに従い…人を殺める事をして来た…ヨウには、後悔の微塵もなかった… しかし、涼と闘っていて、何が違う事に気がついた… 涼の顔には、ヨウに殴られて、赤く腫れ上がっている… ヨウには、釘バットの攻撃でボロボロになった服…その服には、脚から出ていた鮮血が付着していた… 涼もヨウも、純粋に闘うワクワク感…が湧き上がりお互い清々しい気持ちで闘っていた… 「ロイに従いて、俺、生きてたが、なんだこの感覚は…」 「たまんないよ!」 「涼は決して俺からしてみればよ」 「大した奴じゃあないが、やっぱゾーンに入り込んだよ!」 「イヤー楽しいチャンよ!」 ヨウは、独り言を言っていたが、相変わらず変な口調、変な喋りであるが… 今迄は、こんな楽しさワクワクした気持ちになれなかった。 ヨウは、このワクワク感を「この世界」で知ったのであった。 ロイは、防戦一方となり、レオの反撃をかわすのがやっとだった! ロイの危機を察知して、ヨウがロイのもとにやってきた! 「ロイ!大丈夫か?」 「いや、斬鉄剣の威力は凄いぞ!」 ロイは防戦一方ではあるが、そう落ち込んでもいなかった。 「ヨウ、失敗したのは、弱気になっていた事だなぁ?」 そんな時、レオの斬鉄剣がロイの胴体を切りつけた! その時、ロイが持っていた青龍刀をヨウが奪いとり、ロイの胴体を防御した! 間一髪だった! ロイは、胴体に鎧をつけていたのでヨウが防御しなくても…大丈夫だったが、斬鉄剣のため、ひょっとすると、腹の肉に刃があたって…たかもしれないと…? 「ヨウ、あまりお喋りも出来ないようだなぁ?」 「ロイ!俺が青龍刀を使うが、いいか…?」 「いいよ!ヨウ!」 「ヨウ!俺は、鎧をつけているから、なんとか、ダガーナイフだけで…大丈夫だ!」 ロイは、ジュラルミンの盾をヨウに渡した。 「ヨウ!それで、防御に使って上の部分が無くなった、ジュラルミンの盾を渡すよ」 しかし、ヨウは少し後悔していた。 それは、俺との勝負がついていなかったからだ… 俺も、同じ様に感じ、ヨウの闘いの余韻にしたっていたのだったが… すると、剛の怒号が飛んで来た! 「涼!レオに加担しろ、そしてロイを責めろ!」 剛の怒号は凄い迫力で、俺、レオに叱咤した! 時間は、2時を過ぎようとしていた! 闘い時間が始まってから、1時間を超えた… 観客は、夜中だというのに帰る気配が無く? お祭り騒ぎである! ヨウは、体力にものを言わせ、俺達の攻撃をやっと交わしていた。 俺達もかなり疲れを感じ、武器を振るう腕が段々上がらなくなっていた。 特に俺は、ヨウと渾身の力で闘っていた事からロイを攻める事が出来ないでいた。 そんな時、キョウコが…ロイとサイコキネシスで交信を始めた… 「ロイ!危ないわね?」 「いや、大丈夫だ!」 「ロイ、今、涼に疲れが見えているから、交信したの…」 「ホテルに人質のマインドコントロールを解除するキーワード…」 「ロイと共有していて…それを解放したい…」 「ロイも、わかっているわね?」 「ロイ、今のロイの苦しみを解除するのは…」 「清い心の聖者がキーワードを人質の心に優しく解いて…あげないと…」 キョウコは、涙ながらに話し、ロイに伝えていた… 「ロイ!貴方の苦しみを私が排除したいの…」 ロイは、人質へかけたマインドコントロール解除のキーワードを解放する事を拒まんでいた。 やはり、ロイとしては、かけ引きとして利用したかったのだが… それが、キーワードを解放しない限り…ロイは苦しみ、嫌悪感からロイを救う事が…出来ない… 「ロイ!貴方が今、自分と…葛藤しているの…」 「ロイ、貴方はなにも、わかっていないのよ!」 「このまま、ロイ、私が、キーワードを人質に伝えても…」 「ロイ!貴方の悲しみ、嫌悪感など救う事は出来ないの…」 「救うには…」 「清い心の聖者にロイ又はキョウコからキーワードを伝えることが必要なの…?」 「人質の心に優しく解いて…あげないと…意味がないの…」 キョウコが落ち着いた口調で、ロイを説得していた。 やはり、ロイはキョウコの言う事が半信半疑であった! 「キョウコ…その聖者って誰なんだ?」 「それはね…ロイ…落ち着いて聴いて…」 「…「のん」ていって…涼チームの…」 「なに………い」 やはり、ロイは受け入れる事をまたも拒んでいた。 そして、涼が闘いに復帰して、4人の激しいバトルが再開された! キョウコは、絶望感から座り込み大きな溜め息を吐いた。
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