46.

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46. 「この世界」はいろいろな思想を持つた人の集まりで、俺達の国とはまったく違う思想が各国にあった。 例えば"おかしな事をする"国の代表は、自分の名誉の為に、国の利益を正当に見出せない事から他国から脅しをかける… そして… 国民を犠牲にしても国の為にと偽っている… あと、 "おかしな事を主張"する国の代表は、自分達の国がトップだと自負し、他国におかしな提案を してくる。 それは、自国の製品以外に莫大な追加金を付け…弱い者いじめ的な姑息い事をしている。 今は、2052年である。 A I(人工知能)の進化により、人間は不自由の無い生活を送っているのに… 人間の心は… まったく進化していないのだろうか? 俺達の国は、頼り無いが豊かさを感じ、思想は様々だが…不合理的な事が少なかった。 頼り無さは、"おかしな事をする"国や "おかしな事を主張"する国に、はっきりした態度が示せない事であった。 「剛…1年前のロイ達との闘い以来、みなと警察署から本部警視庁に栄転したんだってなあ?」 「凄い事だなぁ!」 「涼、ありがとうございます」 「そこで、警視総監とか?総理とか何か情報があるか?」 「この頃、やけに、マスコミの報道が過激になり…」 「"おかしな事をする"国がとうとうミサイルを「この世界」にぶち込むって…」 「そうですね!涼、確かに…少し…」 「緊迫していますね…」 「しかし…「この世界」は広い…」 「危ないのは…僕達の国ですね…」 「"おかしな事をする"国にかなり…隣接してますから…」 「でも…剛…"おかしな事をする"国がそれほど…」 「精度が良いミサイルがあるのかなぁ?」 「涼、甘く見ない方がいいですよ…」 「"おかしな事をする"国の代表は、そんな事しか…考えていないのですから…」 俺は、剛の言葉を聞き背筋に寒気が走った。 そんな時… テレビから緊急放送が入った。 レオは、「ちがう世界」に戻ってきたが… 時間の進み方が「この世界」より早く、ロイが消えてからどのぐらい過ぎたか? レオは、はっきり理解していなかった… レオは、自分自身で張り巡らせたテレパシーを確認しつつ… 本当にロイは、政府機関であるシンボルにいるのであろうか? 「この世界」から戻り、どのようにして、ロイはシンボルに戻ったのか? レオが「この世界」に戻って真実を確かめようとしていた。 ロイとヨウがシンボルにいることを知ったのは、レオのおじいちゃん「シン」から聞かされた。 「おじいちゃん…」 「あのシンボル崩落以来消えたロイが…」 「…「ちがう世界」に戻り…シンボルにいる事がテレパシーで確認出来たんだ?」 「今、ロイはシンボルで何をしているの?」 「レオ、しばらく見なかったな?」 「どっかに行ってたのか?」 「うん、話すと長くなるから…あとで…」 「そうか…」 「それで…おじいちゃん…」 「いつ…ロイ達が…」 「あの、シンボル崩落後…ロイ達は消え…」 「俺とイマ、国民で政策を建て直したんだよ…そして…」 「俺の考えを受け継ぐ後継者に…」 「ちがう世界」を運営統括してもらう事にしたんだ…」 「その人物がサイといって、シンボルを崩落させ時、国民を統括していたリーダーなんだよ!」 「ロイ達が現れたの…」 「それは…」 「そう1カ月ぐらい前に…」 「突然…ロイとヨウがシンボルの前に現れ…」 「取り押さえたんだよ…」 「今は…」 「ロイとヨウは、シンボルの牢屋に監禁されているよ!」 レオは、ロイが「ちがう世界」を今、支配していない事が分かり…安心していたが…? レオには、別に変な胸騒ぎがあった。 テレビからの緊急放送は…思っていた事態だった。 剛が話していた…"おかしな事をする"国からの届け物であった。 そんな事を思った瞬間… 大きな地響きが起こり… 何処からか、悲鳴が聞こえて来た。 剛と俺は慌てて、居酒屋を出た。 俺達が飲んでいた店は、象の鼻パーク近くにある小洒落た居酒屋だった。 外を確認した… すると…前方の赤レンガ倉庫に見た事の無い目を疑う光景が…そこにあった… それは、赤レンガ倉庫に突き刺さった巨大なミサイルだった! ここに堕ちたミサイルは、運良く爆破は間逃れて、不発だったのか? 赤レンガ倉庫に突き刺さったままだった。 剛は本部警視庁に連絡を入れ、情報収集を始めていた。 「警視総監!今後はこのような事があるのでしょうか?」 「感知器で確認出来なかったのでしょうか?」 「河合(剛)くん、今のところ沈静化しているが…」 「はっきり…しない」 「今、総理が"おかしな事をする"国の代表に抗議しているが…」 「警視総監、国民を安全な場所に避難させないと…」 「河合くんしかし…」 「いきなりなので…」 「国民をパニックにさせない事が先決とし…」 「ひとまず、テレビ放送で国民を落ち着かせるように、広報に指示した」 "おかしな事をする"国がこれから、何発もミサイルを俺の国に打ち込めば…国民は…全滅する! 今の状況では、ただ、ただ… "おかしな事をする"国がミサイルを撃ち込まない事を祈るだけだったのだが… ミサイルを横浜の赤レンガ倉庫に、撃ち込まれてから少しの時間が過ぎた。 俺は剛と共に、赤レンガ倉庫に向かう事にした。 「剛、今後どうなる?」 「はっきりしませんが…」 「まずは…沈静化を総理も警視総監も考えています」 「"おかしな事をする"国の代表に抗議はしたものの…」 「刺激させないように…が」 「今のところの…対応…見たいですね?」 「剛…かなり大きいミサイルだなぁ?」 象の鼻パークから繋がる、赤レンガ倉庫の高架道路を歩いていて、ミサイルが赤レンガ倉庫に突き刺さった状態がまざまざ確認出来た。 一般の国民が野次馬となって、高架道路に集まり、ミサイルを眺めていた。 ミサイルの周辺1キロ以上の範囲は、立ち入り禁止としていたが… しかし… もし、赤レンガ倉庫に突き刺さったミサイルが爆破したとしたら…1キロの範囲ではきっと…大きな被害があると剛は感じとれた… 穏やかだった剛の顔が、眉間に皺が入り、険しい顔に変わっていた。 俺達は、野次馬の横をすり抜け突き刺さったミサイルがある…赤レンガ倉庫に向かい歩いていた。 すると、赤レンガ倉庫の先にある半月の形をしたインターコンチネンタルホテルが観えた… 剛はその時…言い知れない感情が湧き上がって来た… 「涼…確か…1年前にあの…」 「…「ちがう世界」から来た…奴らが人質を取って立てこもった…」 「涼…何か…一つ…引っかかる事があるんだ…」 「剛…お前もか…俺もそうなんだ?」 それは… 俺は、レオの事… 剛は、のんの事… 1年前に消し去られた記憶が俺と剛の頭と心に僅かな感じとして変な違和感だけが残っていた? 俺と剛は、そんな話しをしているうちに、ミサイルが撃ち込まれた赤レンガ倉庫に到着した。 ミサイルの周りには、完全防具を付けた… 自衛隊、機動隊が重々しく警固していた。 「剛!目の前で観るともの凄いデカさだなぁ!」 俺は少し興奮していた。 「そうですね…」 「なあ、でもこれが爆破したら…俺らは…即死だなあ」 「多分、影も形もないだろうなぁ…」 俺は冗談とも言えない事を剛に、話していた… 「この世界」俺の国が亡くならない事を心で祈っていた? 剛は、ミサイルの形状、型式… 突き刺さった赤レンガ倉庫の被害など調べていた。 俺は、1年前の事もあり、何かが起きた時は特別に任務を与えられるようになっていた。 俺の会社もそれを許可していた。 この命令は、警視総監直下であった。 剛と俺は、事件が有るとコンビを組まされ現場に向かっていた。 今回は、剛は非番であったが、思いもよらない贈り物が空から降ってきた事から任務に就いたのだった。 「剛…分かっていると思うが…」 「ミサイルは、やっぱり"おかしな事をする"国から贈り物なのか?」 「そうですね、"おかしな事をする"国からの贈り物ですよ…」 「型式の他に…あらゆる所に、その国の文字が書かれているんですよ…」 「でも、凄いですね…"おかしな事をする"国の代表は、開き直ってますね」 「俺達がミサイルの保有国だと言わんばかりに…」 「ミサイルに自国の文字を入れて…鼓舞しているんだからな!」 「…剛!」 俺はちょと呆れた… 「もう…ここまで来ちまったんだなぁ?」 「…"おかしな事をする"国の代表者は、どこに向かっているんだろう?」 「"おかしな事をする"国の民衆は、飢えに苦しんでいるのに…」 俺と剛は、今後ミサイルがどこに撃ち込まれ、どのぐらいの威力が有り… 「この世界」はどうなっていくのか? 赤レンガ倉庫に突き刺さったミサイルの前で話していた。 すると…氣多たましい…警報が鳴り響いた! のんは、「この世界」…下界して1年が過ぎ看護師として、埼玉の川越近くにある病院に勤めていた。 のんの看護は献身的で、入院患者に人気があった。 それは、1年前… 剛の記憶は消えても、看護師の仕事は身につけていた。 のんが思い出せない無いのは剛との出逢い…交通事故で即死…黄泉の国での事であった。 「…吉蔵さん、体調はいかがですか…?」 「のんちゃんに看護してもらって…わしは入院していても…毎日が楽しくってね」 「え、本当、ですか!」 「のんちゃんと話していると…なんて言うか…心が休まるんだ」 吉蔵は、87歳で肺炎を患い入院していたが余命を宣言されていた。 のんは、それを理解し献身的に看護していた。 その甲斐あって、吉蔵は宣告された余命より約半年も生きていた。 「のんちゃん…ありがとう」 「わしに癒してと生きる楽しさを与えてくれて…」 「吉蔵さんが自分を大切にしたから…」 「わたしは、ただ吉蔵さんが元気でいてくれることが嬉しいの」 のんは、記憶に残っていないが身体と心は、彼女…自身…「のん」であることを「のん」が看護している最中… それは起きた… 激しい…爆破音!激震!爆破音からの波動によるガラスの大破… そして… 空にはキノコの様な雲が立ち込めていた!
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