0人が本棚に入れています
本棚に追加
怒りと崩壊
それからしばらくした日 少女はあっさり私の前から消えてしまった
城のどこにも姿はないし どこからも声が聞こえない
理由はあまりにも簡単だった
少女は死んだのだ
ただ死んだならまだよかったのかもしれない
けれどそうではない 少女は殺された
それを知ったとき
殺すなら最初から殺せばいい そう思った私は非道だろうか
殺し方も毒殺という苦しむやり方だったのだ
いつもの食事の中に毒を入れられ
少女はいつものように 毒の入ったそれを口にしてしまった
人間はとてもあっけない そんなことはわかっていたのに
少女がいない それが今の私の中にあふれて 気が狂いそうだった
少女が殺された理由なんてものは 私にきっと理解できるものではない
だから もうどうでもいい
少女は最期に何を思ったのか
最期くらいこの城の者を憎んだだろうか
それはもうわからないけれど
どうか自分を嫌いにならないでほしい 何も悪くないのだから
私は悲しみと後悔の中で 少女を思い感謝をした
少女との思い出があれば
これからの長い未来も少しは退屈しないと思ったから
けれど 城の人間の話し声から聞こえてしまった言葉に
私の中の怒りの全てが反応した
動かなくなった少女を この城の人間は森に粗末にも捨てたと言ったのだ
死んでも少女の扱いは変わらなかった
私の中で何かが壊れた音がした
最初のコメントを投稿しよう!