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第9話 花子さんの配信 OP
前回までのあらすじ!
ゲーム実況VTuberとして密かに活動していた御手洗花子(戦後生まれ)! ついに事務所と契約!
しかし新たに444人フォロワーを得なければデビューは取り消されることに!
一体どうなる――!?
「って、某動画サイトのチャンネル登録数、普通に500人超えてるじゃん!?」
あたしは某動画を見て驚いた。
「へえ。花子さん、1ヶ月で100人の壁を越えたのね」
メリーさんが感心したように言う。多分この数はすごいことなんだろう。
これだったら余裕で444人得られるんじゃない?
『安心するのは早いぞ、咲子。花子さんが配信するのは有名な動画サイトではなく、まだまだ利用者が少ない専門配信アプリだ』
「なるほど……わざわざアプリを入れてくれるかはわからない、ってことね。で、アンタの秘策って?」
『ふっ……二人は、花子さんがいわゆる「クソゲー実況配信者」であることを知っているか?』
クソ……クソか……。
花子さんはにっこりと笑う。
「そうです。トイレの花子さんだけに♪」
「あんた、アイデンティティとはいえ、もう少し恥じらいとかないの?」
「排泄は生きとし生けるものの権利であり、義務ですよ?」
「なんかすごく高尚な話になるよね、アンタがトイレの話してると……」
『まあ、クソゲーというのは、おおよそシナリオやグラフィックのクオリティが低い、プログラマーが3人とかでバグが多すぎる、とか色々あるんだが。バック○ロージャーみたいに』
「ああ、あの首が180°回転してるやつね」
メリーさん、ちょいちょい詳しいな。
『だが、そもそも「大御所たちを集めてくっだらないものを作る」というコンセプトで作られているものもある。今回お出しするのは、そのコンセプトで作られたフリーホラーゲームだ』
「ホラーはわかるけど、フリーって?」
『まあ簡単に言うと、アマチュアが作った無料ゲームってことだな。だが今ではそこから有料版、コミック化、アニメ化などのメディア展開を行われていることも多い。特にホラーゲームは名作が多いと言われている。
ゲーム実況界は、このフリーホラーゲームが支えたと言っても過言では無いだろう』
というわけで、フリーホラーゲーム界の大御所たちを読んで、とんでもなくくっだらないものを作ってもらいました、と柳田。
そんな、キラキラの才能を嬉々としてドブに捨てるようなことさせるなよ。なにか。湖の女神待ちか。「あなたが落としたのは、この金の才能ですか? 銀の才能ですか?」ってか。正直に答えたら才能が3つ増えるってか。そりゃクリエーターなら嬉々として捨てるかもしんない。最終的に3つになるなら。
『それでは始めよう。花子さん!』
「ごきげんよう、トイレの皆さん。今日も汗水垂らした僅かな禄をわたくしに貢いでね♪」
「花子さん!? アンタそんなキャラ付けでVTuberやってんの!?」
あ、うっかり本名で呼んじゃった。でもそっか、VTuber名なんだっけ。
あと花子さん。それ姫っていうか、女王だよ。本当に大丈夫か。
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