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今年はエルニーニョ現象とかなんとかで、暑い夏らしい。はじめは関係ないなと思っていたが、そのお陰で、おいらの出番もなかなかあった。
ご主人のためにたくさん働いたって訳だ。
ちょっと、威張ってみたくなる。
しかし、スマホくんが教えてくれる。
最近日照時間が少しずつ減ってきていると。
もう、17:00には夕焼け小焼け。18:00は夜と言えると。確かに、おいらの場所からじゃあんまり外は見えないけれど、窓から差し込む光はすこし『秋』に近づいている気がする。
あぁ、そろそろ。
残暑厳しいといえど、少しずつ。
月日が経つのはほんとに早いな。
ご主人の「あっちー」が少なくなって、就寝前の数時間と週末くらいしか「ピ」の音を立てなくなる。
あぁ、そろそろ。
ご主人は暖房をあんまり使わないから……。スマホくんに聞くところによると、頭がぼんやりするかららしい。だから、電機絨毯とコタツ派。本当に憎っくき奴らだ。
こうなると、かなちゃんが毎日来てくれることを願ってしまう。
かなちゃんが来る日はきっと暖房を入れるはず。
そう思いながら、部屋を見渡す。
「この夏もお世話になったな」
やっぱり、ご主人は良い奴だ。
そう言ったご主人はフィルターを掃除するために、おいらのお腹をパカッと開けた。
おいらの熱い夏が終わり、しばらくゆっくりと息を潜める。まぁ、おいらにとっては、ご主人が快適であれば、それで良いのだ。
うん、それで。
じゃあな。また暑い夏が来るまで、口を閉じて静かに待つことにするからよ。
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