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「で?具体的にどうする?」
どうやら気持ちの切り替えが出来たらしく、かっちゃんは好奇心に煌めく眼で、俺の次の言葉を待っている。
俺は、相も変わらぬ表情で言う。
「ああ、普通に先生に聞く。」
ズコッ。と聞えてきそうな、リアクションをするかっちゃん。
「いやいや、それは俺が聞いたじゃんっ。そんで、教えてくれなかった。」
コイツは何を言ってるんだと言う様な表情で見てくる。
「いや、だから今度は普通に聞くんだよ。」
それでも納得しないかっちゃんに補足する。
「あのなぁ。かっちゃん、あのタイミングとあの聞き方で教えてくれる訳無いだろ。」
「どういう事だよ!」
俺は一つため息ついて続ける。
「聞き方が感情的でストレート過ぎる。」
「あの場にはクラスメイト全員がいた。」
「先生が言ってた通り個人情報だ。」
「いくら転校した生徒の事だからって、あの場で個人情報を言いふらす程、配慮に掛けた事はしないだろ。普通。」
「聞くなら個別で他の生徒が居ないタイミングでだ。」
「だってぇ」と言いながらも、納得はしてくれた様子だった。
「まぁ、まかせろ。」
そう啖呵を切って俺は単独教員室に向かった。
かっちゃんには、教室で吉報を待てとだけ伝えて。
20分程経過した頃、俺が教室に戻ってくるやいなや、「リト、どうだった!?」
かっちゃんが食い入る様に姿勢で出迎える。
「すまん。聞かなかった・・。」
「そうかぁ」
「ん?聞かなかった?」
俺は先生から告げられた言葉をそのままかっちゃんに伝えた。
「すまんな桐谷。勝田にはああ言ったが、実は弘道からお前らには教えないでくれと頼まれてたんだ。別に喧嘩した訳では無いと、これはただのゲームだから大丈夫だってな。」
「なっ。」
続ける。
そして、先生は弘道からこんな、言伝も頼まれていたそうだ。
「見つけられるなら見つけてみな。ヒントは既に与えてある。制限時間は一週間。あっ、でもどうしても無理なら教えてあげても良いよ。」
だそうだ。
なんとも挑発的なニュアンスが見てとれる。
「それで、聞かずに戻って来たと?」
「・・・すまん。」
「ハハハッ。あのリトが珍しく感情的じゃんっ。」
何だか嬉しそうに、かっちゃんが肩を小突いてきた。
「じゃあ。どうする?」改めて問いかける。
「見つけるしか無いだろ。」
諦めるようにそう言ったが実のところ、かなりヤル気になっていた。かっちゃんも、そんな俺の表情を受けてか「だなっ!」と呼応する。
「一週間と言わず、二日で見つけてやる。」
しかし、どうしたモノか。
「ヒントは既に与えてある、先生はそういったんだろ?」
「ああ。つまりは、解くための材料は既にあると言いたい訳だ。」
恐らくヒントは、弘道と会っていた夏休み期間中に集中しているだろう。
ヒントが半年、一年と前だと記憶が曖昧でヒントとして成立しないだろうし、弘道に限ってそんな無理難題は出して来ないハズだ。
まるで、テスト範囲を絞る様にポイントを決める。
「なぁ、かっちゃん。夏休み中、弘道に何か変わった事は無かったか?」
「んー。そうだなぁ」
とりあえず、夏休み期間中の弘道の気になる行動をお互いに上げる事にした。
結果。
1、隠れんぼをしようと言い出した。
2、髪を切っていた。イメチェン(ツーブロックに)
3、自販機で電子マネーを使う様になっていた。
4、帰る時間が6時半から4時半に早かった。
お互い捻り出したつもりだったが、それ程情報が出てこなかった。所詮、日常的な観察力なんてたかが知れている。
とりあえず、ある情報で何とかするしか無い。
まず【1】は、今日のこの瞬間のための伏線な訳だから恐らく弘道の居場所と直接関係は無いだろう。
【2】と【3】は、ひとまず置いておいて、やはりヒントになるのは【4】の帰り時間だ。
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