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ガーデンハウスは校舎の後ろにひっそりと佇ずんでいて、その昔、高校のOBたちによる寄付で作られたらしいガラス張りの温室だった。そのころは園芸部は盛んでコンテストでは金賞を取っていたらしいが、時代と共に廃れ今では園芸部は名ばかりの帰宅部。
ここは私のオアシスだった。私はクラスでハブにされていたから。
嘘つき。根暗。気味が悪い。
クスクスと笑う中傷を浴びせられ、私は学校に行きたくなかった。中退しようかと親に相談したけれど、決まって馬鹿なことを言わないのと否定され、嫌々学校に来ていた。教室に居たくないくて、枯れた気持ちで抜け出し、ガーデンハウスを見つけた。
授業中だったが、暇をつぶすのに丁度良かった。
そこは私の心を静かに溶かしてくれたのだ。
花の甘い香りが泣きたくなるほど落ち着かせる。赤や青や黄色の花はひっそりと咲き誇り、まるで元気をだせよっと訴えているように思えた。誰が世話しているんだろうか。
帰り際に私はガーデンハウスの出入り口で先生に会った。何を思ってなのか、お茶に誘われ、自家製のハーブティーに自家製の苺ジャムでクラッカーに乗せて食べさせられた。とても美味しかった。無口で鉄仮面の男と言われているけれど、決して優しくないわけではない。何も聞かないでくれたことが嬉しい。こうして一緒にいることがどれだけ救われたか。──そして今、9月が終わろうとしている。夏の花から、そろそろ秋の花に変わろうとしていた。先生は変わらず側にいてくれた。
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