果ての空蝉

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  ――享保4年。  国の各地で密かに齋病(いつきやまい)という病が流行していた。  生きている人間が突然、あやかしや怪異などの異形に変貌する。  心を通わす手段はない。  人に戻る手立てもない。  目に見えぬ災害たるそれらは恐れられ、その病に侵された人間を、彼岸(ひがん)に近づきすぎた者――‘‘彼岸者(ひがんもの)’’と呼んだ。  これは、その彼岸者(ひがんもの)を狩る者たちのお話。
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