リサからのメッセージ

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 リサの病室に出向くと、やはり彼女の意識は無く、心電図モニターが彼女の拍動を弱々しく示しているだけだった。彼女の枕元には直前まで使用していたパソコンが置かれている。その表面には黄色い付箋(メモ)が貼られている。 『マリーへ。パソコンを開いて動画ファイルを見て』  パソコンを開けると、スリープ状態から起動したパソコンのディスクトップに『To Mary』と書かれた動画ファイルが見える。そのファイルを開くとベッドの上で録画された彼女のメッセージが流れ始めた。 『今日はとても調子が良いから、このメッセージを残しておくわ。マリー、制御則(プログラム)は何とか間に合ったけど、私の容態は火星着陸まで持たないみたい……』 『でもきっと、マルス2は火星の地下空洞に着陸出来る筈よ。私の制御則(プログラム)、私の分身が火星に着陸するなんてとても嬉しい。でも私、貴女に感謝はしていないわ。ありがとうも言わない。だってこれは私達の取引(デール)だからね』 『マリー、最後の降下ミッション頑張ってね。火星着陸の成功を祈っているわ!』  彼女の言葉を聞き、頬を涙が流れるのを感じていた。そして私は翌日の火星着陸をリサと一緒に、この病室から見る事を決意していた。
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