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私は彼らの飛行をモニターする為に管制塔に向かっていた。その時だった。突然、飛行中のデビッドから電話が掛かって来た。
「デビッド、どうしたの?」
でも聴こえて来たのは彼の声じゃなかった。
『マリー、大変。デビッドが意識を失って反応がないの。どうすれば良い?』
その言葉に衝撃を受けて固まった。
「飛行機は真っすぐ飛んでる?」
『ええ、自動操縦で飛んでるわ』
「分かった。今、管制塔に上がってサポートするわ」
私が管制塔に飛び込むと管制担当のケビンが驚いた表情を浮かべている。
「マリー、どうしたんだい血相を変えて?」
「さっき離陸したデビッドが意識を失ったの」
「なんだって?」
「管制卓を借りるわ」
そう言いながら私は管制卓に座ってレーダーを見た。
「リサ、機体は空港から十二マイルを飛んでるわ。空港に戻る為、自動操縦で旋回しましょう。右画面のHDGを回して方位を200に合わせてEXECを押して」
『押したわ。わぁ、左旋回始めたわ』
「OK。でも自動では着陸できないの。操縦は分かる?」
『うん、シミュレーターやったことあるから。計器も読めるわ』
「OK。右下のILSを見て『DOV』になってる?」
『うん、DOVよ』
「OK、この空港にセットされているわね」
空を見上げると遠くに彼女が乗ったセスナが見えて来た。何とか無事着陸させないと。
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