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「最終旋回に入るわ。HDGを90に合わせて、私のタイミングでEXECを押して」
『うん、合わせたわ』
「今よ!」
機体は滑走路9に向けて左旋回を行っていく。
『滑走路に正対したわ』
「OK、計器の赤の縦線は真ん中にある?」
『少し右へずれている』
「じゃあ、操縦桿で修正して」
『はい』
滑走路の軸線上で機体がふらついているのが分かる。
『真ん中に来たわ』
「次にエンジン回転数を2000回転に落として。スロットレバー分かる?」
『はい、出来たわ』
「次にフラップを下げて」
『これね。OK』
「速度に注意して。グライドスコープに載るまでは80ノットを維持して」
『今、85ノット。あっ、計器の中、下から赤の水平線が上がって来たわ』
「それがグライドスコープよ。その線が真ん中になる様に操縦すると滑走路の端まで導いてくれるわ。スロットを絞って1500に、速度は65ノットよ」
『OK、赤の左右線と上下線が真ん中になったわ。高度が下がっている。速度は68ノット』
私が見上げると、機体はフラツキながら高度を落としている。
「接地する直前に操縦桿を引いて後輪から着地させるの。着地したらスロットルを全部引いて、両足のラダーペダルの上部を爪先で押すとタイヤにブレーキが掛かるわ」
『分かった、やってみる』
フラツキながら機体は滑走路に近づいていく。そして滑走路の末端を通過し、機首を大きく上げて滑走路に激しく接地した。もう一度浮き上がった機体は今度は前輪から滑走路に接地したけど何とかバランスを取り戻し着陸出来た。だけど減速しながら滑走路を右に外れていき、滑走路を逸脱すると砂煙を上げながら停止した。
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