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リサとの出逢い
その日、私はサンフランシスコ郊外にあるGnoss Field Airportで友人のデビッドを待っていた。彼が私の所有するセスナを借用したいと言ったからだ。彼は誰かと一緒にベイエリアの遊覧飛行を計画しているらしい。
格納庫前で待っていると、デビッドが十代の女の子を連れて来た。
金髪のショートヘア、大きな藍色の瞳。その顔は笑顔に溢れている。
「デビッド。その娘は?」
「リサ・ハビガー。スタンフォードの宇宙物理学科の博士課程に居るんだ」
彼女が私に笑顔を向けた。
「貴女がマリー・ランダームね。若きスペースYの女性CEO。私はリサ」
彼女の差し出した右手をギュッと掴んだ。
「マリーって呼んで。宇宙物理学、私の後輩ね。その歳で博士課程って。凄いね」
「まだ十六よ。でも私には時間が無いから、これでも遅いくらい」
「えっ? どういうこと?」
彼女は私の言葉を無視してセスナに近づいていく。
「この機体で飛ぶのね。楽しみだわ」
「リサ、どうして空を飛びたいの?」
「私、本当は宇宙へ行きたいの。最終的に火星へ行ってみたい。だって、火星には絶対生物が居ると思っているから。でも私には無理そうだから『そうだ、まずは空を飛んでみよう』と思ったの」
「それなら、あと二年待ってくれれば、スペースYが宇宙旅行プログラムを始めるから、宇宙へ行くことは可能よ」
リサが首を左右に振っている。
「でも、私には難しいんだ」
その言葉の意味が分からなかった。どうして彼女は最初から難しいと?
彼女はデビットと一緒にセスナに乗り込んだ。直ぐにセスナはデビッドの操縦で離陸し、真っ青な空に向かって上昇していった。
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