19人が本棚に入れています
本棚に追加
「お菓子もらって喜ぶのは、アクマも一緒だな」
スマホをポケットに戻しアクマに視線をやると、ぽーっとした表情のまま、口を小さく開けた。
「こぉいち、アクマ、いえみつけたからかえる」
「へ? 何だって?」
いつも以上にぽやぽやとした口調で、うまく聞き取れなかったが「かえる」というのはしっかり聞こえた。
次の瞬間、ポケットのスマホが振動し、俺はびっくりして体が動いた。
画面には、姉の名前が――。
「やっと連絡寄こしたか…はい、もしもし?」
ため息混じりに電話に出る。
『紘一、こっち落ち着いたから明日、迎えに行くわ。ありがとねー、よろしくー』
「え!? ちょっと、待って! 明日!?」
画面を見るとすでに切られていた。
姉さんって、こんな一方的な人だったっけ…?
「…アクマ、明日迎えに来るって…」
アクマに目をやると、何も言わずにぽーっと俺を見ていた――。
最初のコメントを投稿しよう!