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姉にまた電話やメールをするも、やはり繋がらず。
俺はイライラしながらも文句は明日、会った時に言えばいい、と思い直した。
ボストンバッグにアクマの服や玩具を詰める。明日でさよならかと思うと作業の手が遅くなった。
初めはあんなに戸惑ったのに…いなくなると思うと寂しさが込み上げてくる。
――アクマ、必ず幸せになってくれ。
どんな家庭環境かは分からないが、こんな天使のような子を悲しませることはしないで欲しいと、顔も知らないアクマの親に心の中で頼んだ。
先にベッドで眠っているアクマの隣りに入り、そっと髪を撫でる。
――また会えるさ、親戚なんだから…。
そう言い聞かせて俺も目を閉じ、眠りについた。
***
翌朝、目が覚めたのは8時頃だった。
起きたら隣りにアクマはいなくて、俺はトイレやベランダ、クローゼットの中までも隈なく探し回った。
昨日用意したボストンバッグはそのまま残っている。
玄関に行くも、チェーンは掛かったままだ。
外から入ってきた形跡はなかった。
ベランダへ行く窓も鍵は掛かっていた。
「……え?」
この部屋からアクマだけが消えていた。
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