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「ほら、行くぞ二人とも。 乗った乗った」
「の、乗る? これにですか? ……どうしましょうか、ラミィさん。 セシルはちょっと怖いのですが。 だってこれ、ただの紙ですよ? 壊れちゃいそうで……」
「そうよね。 実は私もあんまり乗りたくない…………けど……」
最初は怖がっていた二人だったが……こくり。
意を決して頷くと。
「よし、じゃあ……同時に乗るわよ、良いわね?」
「わかりました! では同時に! いっせーの……」
「せっ! よっと!」
「ええい!」
同時にジャンプ。
翼模へと見事、飛び乗る事に成功したのだった。
「……あれ、思いの外しっかりしてる。 なんか馬乗ってるみたい」
「…………ですね。 むしろ案外乗り心地、良い?」
跳ねたり叩いてみるが、大鷲は全く微動だにしない。
どころか、紙が破れる気配すらなく、とても頑丈。
一安心したようで、二人の表情に笑顔が戻ってきた。
「二人とも、乗ったよな? なら行くぞ。 揺れるからちゃんと掴まっててくれ」
「はい!」
「はーい」
「よし……頼んだぞ、翼模。 向かうはベジタリオス! 天に浮かぶ古代遺跡だ!」
明日汰が声を張り上げると翼模は翼をはためかせて、巻き上がる風と共に飛び上がった。
その大いなる翼で、次なる世界へ向かう為に。
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