妖魔の章 三話

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「ほら、行くぞ二人とも。 乗った乗った」 「の、乗る? これにですか? ……どうしましょうか、ラミィさん。 セシルはちょっと怖いのですが。 だってこれ、ただの紙ですよ? 壊れちゃいそうで……」 「そうよね。 実は私もあんまり乗りたくない…………けど……」  最初は怖がっていた二人だったが……こくり。  意を決して頷くと。 「よし、じゃあ……同時に乗るわよ、良いわね?」 「わかりました! では同時に! いっせーの……」 「せっ! よっと!」 「ええい!」  同時にジャンプ。  翼模へと見事、飛び乗る事に成功したのだった。 「……あれ、思いの外しっかりしてる。 なんか馬乗ってるみたい」 「…………ですね。 むしろ案外乗り心地、良い?」  跳ねたり叩いてみるが、大鷲は全く微動だにしない。  どころか、紙が破れる気配すらなく、とても頑丈。  一安心したようで、二人の表情に笑顔が戻ってきた。 「二人とも、乗ったよな? なら行くぞ。 揺れるからちゃんと掴まっててくれ」 「はい!」 「はーい」 「よし……頼んだぞ、翼模。 向かうはベジタリオス! 天に浮かぶ古代遺跡だ!」  明日汰が声を張り上げると翼模は翼をはためかせて、巻き上がる風と共に飛び上がった。  その大いなる翼で、次なる世界へ向かう為に。  
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