プロローグ ──閉ざされた世界──

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プロローグ ──閉ざされた世界──

 この世には様々な世界がある。  あやかしと共存する世界。  異界より現れし(カリオン)との戦いを強いられる世界。  七罪を背負う魔王達が国々を統治する世界。  多くの思惑が絡みあい、女尊男卑が基盤となった世界。  そして、全ての人間が滅んだ後、人間に代わり、童話に記された者達が暮らすようになった世界。  この世には多種多様な世界が存在する。  その中には、こんな世界があった。  名を、収束する世界────レヴナント。  ある強大な存在が封印された、神々にすら忘れられた世界である。  そんな忘れられた世界で今、想像を絶する戦いが始まり、また終わろうしている。  様々な世界から呼び寄せられた英雄達の手によって。   「ソーマ! 合わせてくれ!」 「ああ、任せろ!」  漆黒の髪から黄金の瞳を覗かせる男、ソーマ=イグベルト。  ソーマは伝説のあやかし、九尾の狐を身に宿す青年の声を受け、フルグラムに膨大な魔力を流し込む。 「やるぞ、フルグラム!」 「おうともよ、相棒!」 「こっちも負けてらんないな、ココン!」 「じゃな! わっちら最強コンビの力を今こそ見せてやろうぞ、明日太(アスタ)よ!」  青年もまた、タイミングを合わせ、内なる存在と呼応し力を顕現させた。  明日太と呼ばれた青年は九尾の狐が発した焔を象る妖力を意のままに操り、自らの右腕に定着。  爆炎の名に相応しい焔の手甲を作り出す。  そして二人は、倒さなければならない敵。  およそ八メートルはあるであろう邪悪なオーラ纏いし鋼の巨人へ、力の限り技を放った。
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