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妖魔の章 二話
「えっとつまり……ここはアーベルジュじゃなくて、レヴナントっていう異世界……ってこと?」
「そんでもって私達はそのヴェルフェゴールなんちゃらを倒す為呼ばれた、選ばれし者……」
そんなあり得ない現実。
自分たちの居た世界ではないという事実を受け、二人は今一つ上手く飲み込めない。
が、
「だから空にあんな物が……」
アーベルジュの空には無い、五つの惑星。
「どおりであんなバカでっかい遺跡が浮いてるわけだわ。 なんか納得」
そして魔界では、噂にも聞かない空中遺跡。
これだけの証拠を見せられたのだ。
ここが自分たちの居た世界ではないのだと、半信半疑の彼女らも納得せざるを得ない。
「じゃあ本当にこの世界は、私達の居た世界とは全く違う異世界なんですね」
「正直未だに信じられないけど、これだけ見せられたら納得するしかないわよねー。 あーあ、嫌んなるわ」
「俺も……いや、俺達も同じ気持ちだ。 だからこそ俺達はヴェルフェゴールを倒さなくちゃならない。 元の世界に帰る為に」
それを聞いた二人の脳裏に、ヴェルフェゴールを倒せば本当に元の世界に帰れるのか。
そもそも、世界一つを牢獄にしなきゃ封じられない化物を私達だけで倒せるのか、といった疑問が浮かんだが、二人はその疑問を口にはしなかった。
何故なら、彼女らは知っているからである。
困難に立ち向かうにはどんな希望であろうと必要なのだと。
希望がなければ人の心は簡単に挫けてしまうと、過去様々な経験をしてきた彼女達は知っている。
だから言えなかった。
その言葉を信じるしかなかった。
たとえそれが虚言であったとしても。
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