妖魔の章 二話

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「アスタさん、何故そうまでしてベジタリオスに行きたいんですか? 何か理由が?」 「観光目的なら断固拒否だから」 「もちろん観光なんかじゃない。 目的はただ一つ。 転移門を見つける為だ」 「「……転移門?」」  初めて聞いた単語に二人はキョトンとし、顔を見合わせる。  知らなくて当然だ。  転移門は、レヴナントにのみ存在する空間移動用の扉。  ここに来たばかりの二人が知らないのも無理はない。 「あの……アスタさん。 転移門、とは一体……」 「うちらこの世界に来たばかりだから、転移門とかなんとか言われてもよくわからないんだけど」 「あ、そうだったのか。 なら知らなくて無理はないな。 うーん、じゃあそうだな……ならここは、この世界独自のルールから話すとしようか。 歩きながらでも」  そう言って歩き出した明日汰の後についてくる二人に、明日汰はレヴナントにのみ存在、適用される基礎ルール。  三原則を説明し始めた。 「この世界には様々な独自ルールがあるんだけど、ある程度はこの三原則に集約されるんだ。 まず最も基盤となる一つ目のルール。 世界の構成から話すとしようか」  一旦そこで言葉をとぎらせると、明日汰は妖力で生み出した焔で空中に図解らしきものを描き出す。    三人の目の前に現れたのは星空がごとき数の点。  そして、点と点を繋ぐ線であった。
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