妖魔の章 二話

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「それ、なに? その火の粉みたいな丸っこいの。 なんか沢山出てきたけど」 「これは言ってみれば、地図みたいなもんだ」 「地図ぅ?」  地図と聞いてラミィは様々な角度から読み解こうとするが、便宜上地図と言っただけで一般的な地図という意味合いでの地図ではない為、読み解ける筈がなかった。 「どこが地図なのよ、これ。 ただ単に、点と線があるだけじゃない」 「……ごめん、俺の説明が悪かった。 一から順に教えるから、しっかり聞いててくれ」  頷いた二人を尻目に、明日汰は一つの点を指差して。 「そうだな……とりあえずこの点をA地点としようか。 このA地点自体が一つの家のようなものと思っておいてくれ。 で、ここから伸びる線の先にあるこの点をB地点。 別の家とする。 ここまでは良いか?」 「うん、だいじょーぶ」 「よし、じゃあ続けるぞ。 さっきはこれを家と言ったが、今度はそれを家ではなく、今俺達が歩いてる大地に置き換えてほしいんだ」 「えっと、家じゃなくて……この場所、ですか。 はい、置き換えました。 問題ないです」  理解力の高いセシルの言葉に頷くと、明日汰は続けて。 「言った通り想像してるなら、今A地点とB地点はどちらも大地になってると思う。 本来であれば海なんかでも無い限り、基本的に地上は地続きだ。 けど、この世界では大地と大地は地続きじゃない。 空間ごとに切り分けられていて、歩いては隣の大地には向かうことが出来なくなっているんだ」 「…………?」 「え? ならどうやって移動を……」 「それこそが、二つ目の三原則。 転移門が密接に関わってくる」  明日汰の言った意味を理解したのか、セシルは「あっ、だからアスタさんは大地ではなく家と」と呟き、ポンッと手を叩く。
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