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「魔神の爪!」
「灼火槍・朧!」
振られたソーマの剣からは大質量の魔力が。
突き出した明日太の右手からは、爆炎の大槍が射出。
鋼の巨人、終焉をもたらす者へと向かっていく。
ドオンッ。
二人の全力の一撃は見事、ヴェルフェゴールの頭部に直撃。
かの巨体を包み隠す程の爆炎が、ヴェルフェゴールを覆った。
「やったか!?」
あれだけの攻撃なのだ、殺せない筈がないと思ったソーマがつい口走ってしまったその言葉を、明日太は聞き逃さなかった。
彼の顔は引くついている。
まるで言ってはいけないことを聞いた時のように。
「バカ! それを言うなよ! フラグだぞ、それ!」
「フラグ? お前こそ何を……なに!」
「ちっ、やっぱりかよ!」
明日太の嫌な予感は、悲しいことに大正解。
「グオォ…………」
あれだけの攻撃を受けたにも関わらず、ヴェルフェゴールはピンピンしていた。
しかし、それは彼女にとって予期していた事柄の1つでしかなかった。
「フッ、やはり倒れんか。 ならば効くまで叩き込むだけだ。 やれるな、お前達」
「任せとけ!」
「ああクソ……だから無茶だっつったじゃん……ったくよお!」
黒のコートを纏う銀髪の乙女、灼火の魔女、香道時雨の指示を受けた男二人。
黒髪黒目の少年、ユキト・ルルモンド。
並びに、髪と同じくブラウンカラーの瞳が眩しい好青年、グレーテルはソーマと明日太の脇を走り抜けると。
「いい加減終わってくんねえかな、マジで! こんなん奴隷の仕事の範疇を越えてるっての! せやあっ! エアフォースブレイド!」
ユキトは勇者の証である聖剣エクセリオンを振り、飛ぶ斬撃を。
「なんだかんだユキトってやる時はやるんだよな。 俺も負けてられないな。 よし、いっちょやってみるか! これでもくらえ!」
グレーテルはヴェルフェゴールの周囲を高速で駆け抜けながら、目にも止まらぬ連撃をお見舞いする。
が、未だヴェルフェゴールは健在。
ダメージが入ったようには見えない。
「げっ! なんつー固さだよ、こいつ!」
「ユキト、お前……本気でやったか?」
「やったわ! やった上でこれなんだっつーの! なあ、テル!」
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