おばけはちみつのグリセルダ

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ジュリコ(2) 「だけど、その、夜、ここで遊ぶって。何やってたわけ? こんな森の中?」  疑問におもって、グリセルダは訊いた。でも―― 言葉に出したその瞬間に、答えをとつぜんひとりで想像してわかってしまい、少し、顔が赤くなる。 「あ。何よ? いまちょっと、変な想像したでしょ? あんたそれ?」  グリセルダの反応を見て、ジュリコがあはは、と声高に笑う。 「まあ、そうよ。その想像は、はんぶん当たり。まあでも、キスとか、あと、もう少し? そんなにすごい、あんたが想像してるような何かはないわ―― …って、何、目、伏せてんのよ?? 信じてないわけ?? ちょっとあんた。勝手にないこと、想像しないでよね!」  そのあと二人で、それぞれ、スマホとタブレットをだらだら眺めた。  なにあんた、イラストとか興味あるわけ? と。ジュリコがスマホを片手に、それほど興味なさそうに訊いてくる。うん、まあいちおう… 好きだったりは、するかもしれない。と。グリセルダは少し曖昧に言っておく。あまりいきなり、自分がイラストを描きますとか言って、相手に作品を見せる流れになったりするのを警戒していた。それはまあ、オンライン向こうの、外国のピクシブ友達に見せるのはいいけど。じっさいリアルで、そばにいる誰かにイラスト見せるとか。考えただけでも、なんだか少し緊張する。 「お。雨、止んだっぽいね。よしよし、いい傾向だ」  ジュリコが言って、ちらりと窓の外を見る。外は暗くて、ここから闇しか見えてないけど。たしかに、音が、しなくなった。さっきまで屋根や森の木の枝を叩いていた雨粒の音が。いまは、どうやら、聞こえない。
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