微熱

コロナ

　夫は月曜辺りから喉の調子が悪かった。
「風邪のひきはじめみたい。喉がイガイガする。」
　そういって市販薬を飲んでいた。

　一日経った昨日もまだ、調子が悪そうで食欲もない。
　夜になって微熱が出てきた。
　３６度８分と３７度１分を行ったり来たりしている。

「さすがに熱が下がらなかったら明日は病院だね。」

　そう私に言われ、夫は渋々頷いた。
　夫は基本あまり病院に行かなかった。私と付き合うようになってからは、病院の処方薬の方が絶対に早く治るのが解って、ようやく最近は病院にもあまり無理やりではなく、行ってくれるようになった。

　実は今日、大事な団地の理事会の仕事があり、そのために会社も休んでいたのだ。

　風邪症状がある場合は電話で相談してから受診してください。と病院の案内に書かれていたので、行きつけの病院に夫が自分で電話をした。

　病院で熱を測ったら３７度５分あった。熱い外を歩いたせいだろうか。
　そして、廊下で待たされ、問診も廊下で。そのまま検査専用の部屋に廊下から入り、PCR検査が行われた。
　結果は陽性。
「会議どうしよう。マスクして黙ってれば行ってもいいかな。」
　と、夫。
「いや、駄目でしょう。」
　と、私。

「検査なんて受けなきゃよかった。コロナってわからなければ会議だって出れたし・・・」
　と、『病院なんてこなきゃよかった。』というと私を責めている感じになるので別の言い方をしていたが、病院に来たら検査を受けるかもしれないと思ってはいなかったのだろうか？
「みんなにうつしちゃうでしょ？」
　と、私。
「だって、知らなかったら別に知らないんだから、それに陽性だって、２０％は間違いだって言うし。」
　と、夫は子供みたいなことをブツブツと言っていたが、言うだけ言ったら落ち着いたらしく、
「帰ったら隔離だね。」
　と、話題を変えてきたので、そこはすかさず
「そうだね。」
　と対応。

　コロナとはいえ症状が軽いのはまだよかったが、これから変わるかもしれないし、後遺症が出るかもしれない。夫はいつも働きすぎるくらい動いているので、症状が出てから５日間。実質は土曜日までの隔離期間は、できるだけゆっくりしてほしいと思う。

　廊下越しに聞いているとだんだん咳が酷くなってきたようだし、やはり、安静に。と願っている。

　でも、受診を進めると機嫌が悪くなっていた昔よりは、気楽に
「そうだ！病院へ行こう。」
　と、言えるようになったので、これからも必要な時には機嫌よく病院に向かってほしいと思うのだ。

【了】