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赤鬼ちゃんと青鬼ちゃんがすっかり眠ってから、ベッドにそーっと戻した。
二人ともバンザイのポーズで眠ってる。
かわいいなぁ。
七星くんとそっとベッドから離れた時、
トントントン
ドアをノックする音がした。
「はーい」
七星くんが小走りでドアを開けに行く。
「こんにちは」
入ってきたのは、スーツ姿の女の人。
流れる黒髪はシャンプーのCMに出てきそうなくらい美しくて、モデルさんみたいなスタイル!
うわぁ。すっごくきれいでカッコイイ人だなぁ。
「マユキ、お迎え来られたよ」
七星くんがマユキちゃんにほほえむ。
ええっ、この人、マユキちゃんのお母さん?
「ママ!」
マユキちゃんがぴょんと立ち上がって、入り口へかけていった。
七星くんが棚からピンクのカバンを取り出して、マユキちゃんのお母さんの所へ持って行く。
「ありがとう、七星くん。大変だったでしょ? お父さんとお母さん、大丈夫?」
「はい。熱は下がって食欲出てきたので、大丈夫です」
「よかった。七星くん、マユキをお願いしておいてなんだけど……無理だけはしないでね」
「ありがとうございます」
マユキちゃんのお母さんとにこやかに話す七星くん。
すごい。
マユキちゃんのお母さんにちゃんと対応してて、なんだか大人みたい。
「じゃ、またな。マユキ」
「うん。バイバイ、七星」
マユキちゃんがにこっと笑って、七星くんに小さな手を振る。
ドアが閉まる直前、隙間から見えるマユキちゃんの目と合った。
ギロッ。
鋭い目つきにササーッと背すじが凍る。
ううっ。……なんかやっぱり、にらまれてる気がするんだけど。
見送り終わった七星くんがこっちに戻ってきた。
「マユキちゃんのお母さん、きれいなお母さんだったね」
「うん。でも、マユキのお母さんも人間じゃない。雪女なんだよ」
「ええっ?」
「ここに来られる保護者さんは人間じゃない。人間の世界で妖怪やオバケっていうのを隠して生活をしてるんだ」
隠して生活か……そ、そうだよね。
突然、吹雪が出てきたり、プカプカ物が浮いてたり。
もし、あんなの普通の人が見たら、大パニックだよ。
私だって頭の中は大混乱だったし。
あんな力、隠してなきゃとんでもないことになる。
「妖怪さんやオバケさんも大変だね。力を隠して毎日生活するのも」
「うん。大人の妖怪たちはちゃんと力を隠して過ごせるけど、子どもたちは感情のままに力を出しちゃうからね。むやみに力を使っちゃいけないってこと、ちゃんと教えないといけない。だから、大変だよ」
七星くんが優しくほほえんだ。
大変って言ってるのに、なぜか楽しそうに。
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