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4 保育園児の本心
「苺ちゃん! みんなでドッジボールしようって男子が言ってるよ」
給食を食べたあと窓際でひなたぼっこしてたら、ゆずちゃんがやってきた。
「はー。元気だね。男子~。給食食べたとこなのに。私、すぐに動けないよ」
「ほんとだよね。男子みんな、すっごくおかわりしてたのにね。あ、苺ちゃんもおかわりしてたっけ?」
ぶはっとゆずちゃんが笑う。
ううう。ゆずちゃん。最後の一言は余計だよ。
そんな心のつぶやきを胸にそっとしまっていたら、ゆずちゃんがとなりの席をみながらポンと手を打った。
「あ、そうそう。七星くんも運動場行ってるって。七星くん、登校してきたばかりなのに元気だね」
「うん。ほんと」
七星くん、やっと今日から登校してきたんだ。
お父さんとお母さん、だいぶん良くなったみたいで、七星くんが学校に行ってる間、保育園の方も出られるようになったんだって。
でも、まだ本調子じゃないから、七星くんが帰ってきたらお家の方で休んだり、家事をしたりするって。
もう少しの間、お手伝いに来てほしいって七星くんに言われたんだ。
だから、今日の放課後も七星くんちに行くつもり。
「おーい。ゆず、苺! 人数足りないから早く来て!」
クラスの委員長が廊下から呼んできた。
「はいはーい。行こっ、苺ちゃん」
私は仕方なしにぽかぽかの窓際から離れて、ひんやりする廊下に出て行った。
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