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3 ひみつの保育園
「どうぞ」
小さな折り畳みテーブルの上に、七星くんがお茶を出してくれた。
「ありがと……」
私は正座の足をちょっと崩して、あらためてぐるりと部屋の中を見まわした。
部屋を入ってすぐの所には、電話機や書類が置かれたカウンター。
ワンフロアになっていて、左奥にはドアのついた部屋が一つある。
壁には色画用紙で作った、カワイイくまさんとうさぎさん。
その横には折り紙で飾られた小さなホワイトボード。
玄関近くの棚にはカゴが入っていて、それぞれピンクや茶色のカバンがしまってある。
可愛い部屋だな。
……っていうか、これってまるで……保育園みたい。
ゴクッとお茶を飲んでから、正面に座ってる七星くんに目を移した。
「あの、ここって七星くんのお家? それにこの子たち……」
「実は、ぼくの家……人間以外の子どもを預かる保育園をしてるんだ」
ぶはっ。
口に含んでいたお茶を吹き出しそうになった。
えーっと、今なんて言った? 保育園はいいとして……
「に、人間以外?」
口元をハンカチでふきながらきくと、七星くんは「うん」とうなずいた。
「じゃ、じゃあこの子たちは……」
人間じゃないってこと?
そりゃあ、さっき吹雪が巻き起こったり、物が浮いてたりしてたけどっ。
人間じゃないなら、なんなの?
まさかオバケ?
混乱している私に七星くんは苦笑い。
それから、いぶかしげにこちらを見ている三人を七星くんが「ちょっとおいで」と呼んだ。
小さな三人は、遠慮がちに七星くんのまわりに近寄ってきた。
見た目は三歳か四歳くらい。一見、普通の子に見えるんだけど……
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