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高校3年生に進級して、私は全国高等学校総合体育大会陸上競技大会に向けて、さらに厳しい練習を続けていた。
5月下旬になると全国高等学校総合体育大会陸上競技大会の静岡県予選会があり、私は3000mの選手として出場した。
この時の私は一紗と一緒に全国大会に出場するというような気持で全力で駆け抜けた。
その結果、この大会で私は優勝して全国大会への出場切符を手にすることができた。
8月初旬に全国高等学校総合体育大会陸上競技大会の全国大会が開催されて、私は静岡県代表として3000mに出場した。
スタートラインに立った私は、全神経を集中させてスタートの合図とともに走り始めた。
私は常に先頭集団の中にいて、何とか先頭を狙える位置で走り続けていた。
最初はスローペースだったけれど、少しずつペースが速くなっていった。
ラスト1周を伝えるベルが鳴った時私は誰かから、
「瑠夏」
と自分の名前を呼ばれたような気がした。
私はラストスパートをかけたけれど全国の壁は厚くて、ゴールラインを越えた私が電光掲示板を見ると最終的に私は8位という結果だった。
走り終わった私は、悔しいという気持ちよりも何故かすがすがしい充実した気持ちになっていた。
陸上競技大会が終わった翌日自宅に帰ると母から一紗が亡くなったという話を聞いた。
私は母に付き添ってもらって一紗の葬儀に出席した。
この時一紗のお母様が、
「一紗は瑠夏ちゃんが出場していた陸上競技大会の様子を動画配信サイトで見ていましたよ!
瑠夏ちゃんが3000mの決勝で走っていてラスト1周のベルが鳴った時、一紗は瑠夏ちゃんの名前を呼んで息を引き取りました。」
と一紗が息を引き取る最後の瞬間のことを教えてくれた。
3000mに出場してラスト1周の時に私が聞いた声は、一紗の声だったのだろうと思った。
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