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名古屋ウィメンズマラソンの大会当日、私は極度の緊張感に襲われていた。
このレースで結果を出せないとオリンピック出場の夢が断たれるからだ。
もう後がない私は、このレースに全てを懸ける強い思いを抱いていた。
スタートラインに立った私は、全神経を集中させてスタートの合図とともに走り始めた。
落ち着いてレース展開を見ながら、私は常に先頭集団で走り続けていた。
20Kmを過ぎると少しずつ集団は崩れていって、30Kmを過ぎたあたりから集団がばらけてしまった。
私は5位の位置で走っていて、まだ先頭の選手が見える位置にいた。
35Kmを過ぎた頃、私はラストスパートをかけるタイミングを見計らっていた。
ラストスパートをかけようか待とうか迷っていると私は誰かから、
「瑠夏、ラストスパートかけるなら今だよ!」
と声をかけられたような気がした。
この言葉が何故聞こえたのか考える余裕もなく、私はこの声を信じてラストスパートをかけた。
まずは4位の選手を抜くと3位の選手の背中が見えてきた。
少しずつ3位の選手に近づいていって後ろを走っていた私は、直線になった所で一気に追い抜いた。
全ての力を振り絞って全力で走っていると40Kmを越えたあたりで2位の選手の背中が見えてきた。
私は何とか追いつこうと少しずつ距離をつめていったけれど、そのままゴールのバンテリンドームに入った。
私はゴールまで2位の選手を捉えることができす、3位という結果になった。
最終的に私は3位で日本人としては1位という成績で、その後の日本陸上競技連盟のオリンピック選考委員会で私は日本代表選手に選ばれた。
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