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「それで、何の話なんだ? ……まあ、一つしかないだろうけど」
金網フェンスの前で、檜皮色の髪を靡かせ尋ねる日坂君。こういう何の変哲もない様子ですら絵になるのだから、ほんとに凄いなあと思う。
……おっと、感心してる場合じゃない。勇んで来たは良いものの、果たしてどう切り出すべきか――
「……俺さ、昔は全然喋れなかったんだよ。お前みたいに」
「……へ?」
すると、僕の逡巡を察してくれたのか、日坂君の方から話を切り出してくれた。もちろん、それは本当に助かるのだけど……だけど、それはそれとして……今しがたの発言は、中々に衝撃で――
「……だけど、ある出来事をきっかけに俺は変われた。――夏乃のお陰で、俺は変われたんだ」
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