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「……日坂、君」
そう、遠くの空を眺めながら穏やかな口調で話す日坂君。そして、口元には微かな笑みが……うん、すごく優しい表情だ。それから……大袈裟なんて思わないよ、日坂君。僕だって、彼女のそういうところに――
「その日から、俺は自分を磨く決意をした。夏乃に見合うような男になるために……少なくとも、自分としては懸命に努力したつもりだ。
そして、それから二年半くらい経ったあの秋の日……ようやく、俺の気持ちに応えてくれた。やっと、あいつに認めてもらえたんだと……あいつの隣にいられるんだと、震えるくらい嬉しかった。……まあ、三ヶ月くらいで別れを切り出されちまったけど。……やっぱ、俺じゃ駄目だったんかな」
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