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「……なんで、お前が俺を応援すんだよ」
怪訝そうに……いや、というよりどこか困惑したような表情で尋ねる日坂君。……まあ、そうなるよね。どうして、まださほど関わりのない僕がそんなことを――恐らく、そのような疑問を抱いていることだと思う。だけど、
【……日坂君は、きっとお気付きでない――というよりも、そんな意識すらなかったかと思うのですけど……筆記でしか伝えられない僕の言葉を、いつも嫌な顔一つせず待ってくれていました。それが、僕にとって凄く有り難くて……嬉しかったんです】
少し面映ゆく覚えながらも、どうにか本心からの言葉を伝える。……最初に話したあの日から、彼はずっとそうだった。僕に敵意を示しながら――それでいて、声もろくに発せず筆記でしか伝えられない僕の返答を、筆記に関しては決して苛立つ様子もなく、ただじっと待っていてくれた。……それが、僕にとってどれほど有り難く嬉しかったことか。
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