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「んにしても、すごい人数だね」
食堂でお目当てのランチを注文できたらしい時羽は、そのカレーをおいしそうに食べながら星露の生徒数に圧倒されていた。
「見る限りですが、ざっと400人ほどはいらっしゃいますね」
お弁当箱を片手に、牡丹も感嘆の声をもらす。
今私たちがいるのは中等部用の食堂だ。隣接する高等部を省いたうえで、この人数。
「さすが星露、としか言えないよ」
「本当に」
牡丹は竹のお弁当箱から、お箸でおにぎりを取り出してぱくりと食べた。すると、急に口をすぼめてむーむー言い出した。
「どうしたの牡丹」
「んんぅ~、水を頂けますかぁ?」
「いいけど」
はい、と牡丹の水筒を渡すと、夢中で飲み始めた。
「あぁ、ひどい目に遭いました」
ため息をつきながら言う。
「どうしたの。変な食べ物でもはいってた?」
そんなに口をすぼめるような食べ物があっただろうかと、食べ終わったお弁当箱の中を眺めてみる。
「梅干しですの!」
「梅干しぃ?」
「ええ。突然梅干しを食べたら、誰だってこうなりますわ!!」
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