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おっちょこちょい
「知っての通り、本日から本格的に授業が始まる。各々、教科担任の先生の指示をよく聞くこと」
「はい」
朝、久岡先生の元へ集められた私達一年生は、ざっくりと今日の予定を教わった。
「入学式の次の日から授業とは、結構ハードですね」
「だね」
一緒に寮のフロントまで降りてきた牡丹が、ため息を吐く。
「どんな授業なのかな」
今日は授業初日というわけで、それほどガッツリと授業を行わないそうだ。
「あれ、凪沙」
名前を呼ばれ振り向くと、そこには時羽が立っていた。
「時羽」
約一日ぶりの再会。軽く手を振ると、隣にいた牡丹が不思議そうな顔をする。
「お知り合いですか?」
「うん、そうだよ」
そういえば、時羽と牡丹は初めましてだった。
「牡丹、こちら、入学式の時に仲良くなった時羽」
くるりと時羽の方を向くと、そこには昨日見た時羽の笑顔はなく、初めて会った時のような、作り物の笑顔が張り付けてあるように見えた。
「初めまして、私、梅崎家の長女、梅崎時羽と申します。どうぞよしなに」
よしなに?それって、あとはよろしくって意味じゃなかったっけ。どうしてそんなこと言うのかな。どうしてよろしくじゃだめなの。
不安げに牡丹を見ると、牡丹も不安そうな顔で見つめ返した。
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